HERO【完】 (ページ11)

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「A、帰るぞ。」

3年生が1年生を迎えに来るから
「白川さん彼氏いたの？」なんて周りはざわざわ。

『ほっくん、わざとでしょ。』

「なにが？」

なんてとぼけた顔してるけど、中学に上がった時もこういうことが1回だけあったことを思い出した。

中学1年生の時同じクラスだった森本くんを、少しだけほんの少しだけ気になってた時期があった。

ほっくんみたいに空手をしてるっていうことと、ほっくんみたいに常に周りをちゃんと見て行動してるところが気になるきっかけになったんだと思う。

その淡い気持ちは誰にも言ってなかったのに、ほっくんがいきなり「A、帰るぞ。」って今日みたいに教室にやってきて、そこから森本くんが私に対してよそよそしくなってしまった。

そして今日は、私がデートしてみたいって言ったことが色んなところで噂されたからほっくんが教室まで迎えに来たんだろうなと思った。

『ほっくんが昔からこういうことするから私に彼氏が出来ないんだ。』

「Aに彼氏とかはえーわ。」

自分は中学の頃からコロコロ彼女かえてるくせに。

『私、16歳になるんだよ？結婚だってできる年なのに。彼氏の1人や2人いてもおかしくないよ？』

「いや、2人はおかしいだろ。」

そう言う意味じゃないし。

『……、もういい。』

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