君の側で (ページ41)

今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:114,470 hit

41 ページ41

「アズールのヤツ、最初から邪魔するつもりで契約を持ちかけたってことか？」

『ご名答。自分たちが負けては意味が無いからね。』

「リーチ兄弟はアズールの手下で、契約者から担保と代償をきっちり取り立てることで有名ッス。契約の達成条件をクリアできない様邪魔をしてくるって噂もね。」

「なんて卑劣な奴らなんだゾ。」

「でもA先輩、良く勝てましたね。あのリーチ兄弟に。」

『誰も水中で勝ったなんていってないでしょ。陸上なら余裕で勝てるって言っただけ。まぁ、水中でも勝ったことはあるけど。』

流石に水の中はきつい。ちなみに契約を破棄するために戦ってるわけじゃ無い。単なる力比べをしたいと言われ断り続けたらモストロラウンジの優待券くれるって言われたから引き受けただけだ。

「水は抵抗がすごいッスもんね。Aさん並みの素早さと抵抗を減らす技術が無いと勝てないッス。」

「ユウが負けたら、俺様ずっとアズールにこき使われちまうのか？」

「オンボロ寮が取られちゃったらどうしよう。」

「…。」

あ、これレオナのたまにある優しさが発動するパターンだな。

「アズールのユニーク魔法は"黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)"」

『特別な契約書にサインを取り付ければその対象から能力を一つ取り上げられるってやつだね。』

思わず説明してしまった。

「あぁ、そうだ。しかも、契約違反が生じた場合はアズールに絶対服従状態にされちまうって話だ。」

「発動条件が難しい魔法ほど、効果は大きいって言うけど…タチ悪いッスよね～。」

「取り上げた能力は契約書に封印されていてアズール本人はいつでも使えるらしい。」

「！！じゃあ、アズールが難易度の高い魔法を何種類も使いこなしていたのは、まさか…」

「十中八九、契約者から担保として奪った能力でしょーね。」

「なんて奴だ！なにから何までインチキってことじゃねぇか！

「ユニーク魔法自体が超レベル高いんで、全部インチキとも言い切れないッスけど。」

でもインチキはインチキ。あのタコは自分が何もできないからそれを他の奴から奪ってできる自分を作る、継ぎ接ぎだらけのタコ。

『あぁ…食べ応えありそう。タコのカルパッチョとか美味しいよねぇ。』

「Aさん悪い顔してるッスよ。」