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あぁ、最悪だ。
無理矢理食堂に連れてこられてしまった。普段自分はあまり食べない。何てったって食べることに少し恐怖心が芽生えているからだ。
身を売られ食べるのにも苦労して体は痩せ細るし、王城に連れられた日は本当に食べていいのかわからなくなるぐらい怖かったな。
で、今は厨房で3人が何を作るかはなしあっているみたいだが食の好みが違う、協調生のない輩が集まってるのをみているとハラハラする。
「だからこれがいいんですよ。」
「バランスがどうのこうこうるせぇよ。あいつの好物作りゃたべるだろ。」
「それだとただのお菓子パーティーになるッスよ。」
どうしてこうもギスギスなんだ。
ようやく作るのが決まったようで安心。机で暇をつぶそうと思いスマホを弄る。
マジカメを見ればいろんな写真が載っている。ケイトの写真を見ればリドルやトレイと仲良く写ってる写真が多い。
俺もこう言うの撮りたいな。
暫くすればいい匂いが広がる。
「もうすぐで完成ッスよ!」
そういえばラギーはお婆さんから色んなレシピを教えて貰ってるって言ってたな。ジャックも兄弟がいて自分たちの分を作るってんだから大したもんだ。
それに比べてウチのレオナと言ったら…
料理経験ゼロ&面倒くさがりの2点セット、絶望でしかない。
運ばれた料理の量に驚く。いつもの3倍の量があるのだから。
1人でこれは無理なのでは。
「これが普通の量ッスよ。」
『えー…こんなに食べられない。』
「つべこべ言わず食うぞ。」
渋々食べ始める。今回は食べやすさを考えてくれたようで親子丼だ。
卵が半熟でとても美味しい。
5口食べればお腹が膨れてくる。
『やば、限界が近い…』
「「はやっ。」」
いきなりこの量は無理に決まってる。美味しいが俺の胃袋は小さくそんなに入らない。
だがあの男が口を開く。
「俺が作ったんだが、そうかお前は食べないってのか。残念だなぁ、俺の愛情が受け取れないってのか。」
ここで食べないを選べばレオナを自分が拒否したことになる気がする。
『食べてやるよ。』
無理矢理でも食べて証明してやろうじゃんか。
『もう無理。』
なんとか食べ切ったがちょっとリバースしそう。まじで。
ラギーは笑ってるし、レオナはなんだか満足気だ。
ジャックだけだよ唯一心配してくれるのは。
「大丈夫ですか?」
『なんとか…。』
この調子で毎日食べなきゃならないのは苦痛でしかない。
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作者名:矢印 | 作成日時:2020年5月29日 2時