26 終曲 ページ26
「やっと来たか。」
静かな部屋に1人ベッドで横たわるレオナ。
『すまん。』
「まぁいい。昔の話でもしようぜ。」
『あんまり思い出したく無いんだけどなぁ。』
「あれ頼むぜ?」
『うぅ、分かったよ。』
ベッドにゆっくり沈む。
ゆっくり息を吐き、唱える。
『
部屋いっぱいに藤の花が咲き乱れ紫の花びらが空を舞う。
「ははっ。こうして眺めてるとやっぱりお前は最高だな。あの場所のまんまだ。」
『初めての大喧嘩で仲直りするときはあそこだったし、嫌なことがあった時も行ってたよね。』
「んなことあったけか?」
『もー覚えておけよな。』
「ハハッ!そんな顔するな。…大丈夫だ。俺は今のお前を見てるから。」
『恥ずかしくねぇの?』
しばらく藤を眺める。
『ねぇ、レオナ。』
「……」
『寝ちゃったかな?…まぁいいや。そのまま聞いて。藤の花ってどんな花言葉があるか知ってる?』
『決して離れない。』
『だから俺はレオナの隣で笑ってたい。ずっと一緒に生きたいって思えたんだ。…なんだか初めての感情で上手く言えないけどレオナと一緒にいると心がぽかぽかするんだ。』
1枚の花びらが砂に変わる。
「…ったく、今更かよ。」
『へへっ、やっぱり起きてた。』
「そーかよ。」
『ねぇこんなこと言うのもなんだけど
生きててくれてありがとう!』
「…お前も同じ道歩もうとしてたじゃねぇか。」
『それは言わないお約束!』
藤の花が風に揺られ悲しい過去を消すようにしずかにざわめく。
「さぁ、この契約書にサインを。」
156人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:矢印 | 作成日時:2020年5月29日 2時