Moon Lady (ページ47)

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Episode 45 【Laurence】ページ47

「大丈夫。必ず此処へ戻ってくる。」

　愛しい人が賭けに出る。不安で不安で、可笑しくなりそうだったけれど、彼を止める術は無い。

彼の台詞を聞き、倉木の瞳をじっと見つめる。彼女が少し、揺らいだ気がした。これならたぶん、きっと彼が。

「丹波財閥のせいで…！」

　けれど、じっとしてはいられなかった。耳をすませば、聞こえてくるのは罵詈雑言。今まで父親であるが当主がどれだけの人を騙してきたのか、認知させられる。

今、私に出来ることは無いだろうか。
ぐるりぐるりと思考は巡り、その度に焦りが生まれる、の繰り返し。それでも考えて、考えて。

「…！」

私は漸く、ひとつやるべきことが出来た。部屋を飛び出し、息を吸って、吐いて。近くにある窓を開けて。

「皆様ー！」

私は大声を出した。

「現当主＿＿私の父が大変ご迷惑をお掛け致しました」

　わあわあ、と騒ぐ声が聞こえる。負けられない。彼も、今、戦っているのだから。そう思えば、余裕が出来た。

「…今、私が愛している、大切で大切な二人が、不本意な戦いを強いられています。」

「ですが、私には止める術がありません。だからこそ、皆様、もう少しだけお待ち下さい。必ず、必ず“彼”が、丹波と皆様の未来を作りますから！」

「丹波の当主が私に移れば、皆様ひとりひとりの対応をさせて頂きます」

わたしは。

「だから、お願い、私を信じて！」