Episode 34 【ココアサイダー】 ページ36
「いなくなった?」
「うん、司おにーちゃん…理香子おねーちゃん、いない…」
「私たち、司おにいさんのお話聞いてて、理香子おねえさん見てなかった……」
ごめんなさい、と泣きながら俺に謝る真由と凛。
いくら幼くとも2人もレディーだ、一紳士としてこのままにする訳にはいかない。
「話してくれてありがとう。お姉さんには必ずその時に2人が心配してたこと、また此処に来てほしいことをお願いしよう。」
だから泣かないでくれ、と2人の頭を撫でる。
2人は袖で涙を拭いて頷いてくれた。
「それじゃあ今日はこれまで!悪いがしばらくは来れない!」
「俺も司にーちゃんと一緒に理香子ねーちゃん探す!」
「翔太、気持ちは嬉しいけどお姉さんは俺でも倒せるかどうか分からない強い奴らに攫われたんだ。いくら翔太が強くても、倒せないだろう。」
「っけど…!」
「大丈夫、俺ともう一人のヒーローがお姉さんを救ってみせよう。」
不安そうな顔をする子供達を安心させるための言葉を残して、公園を後にした。
.
家に帰ると、書斎が荒らされていた。
唯一分かるのは、丁寧に畳まれた白いスーツ、しおりが挟まれた1冊の本、そして…一通の手紙。
全く…不法侵入で訴えてやろうか。まぁ人のことは言えないが。
手紙の封を開け、内容を見る。
『拝啓、怪盗シャルル様
お嬢様は私がお引き取りいたしました。
貴方は丹波財閥の恐ろしさを知らない。
貴方とお嬢様は住む世界が違うのです。
だから大人しく諦めてくださいまし。
怪盗は怪盗らしく、3日後の宝石展で
お会い致しましょう。敬具。』
…読むだけでこんなにも禍々しい感情が生まれるなんて、驚きだな。
落ち着け、落ち着け
煽られているが、今あの家に行ってもご令嬢は救えないし、俺も獄中行きだ。誰も報われない。
「…練り直しだ、最初から」
必ずある。最適解が。
【 宝石展まで、あと 71:59:57 】
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夕焼けと白猫 - とても面白いです。 更新、頑張ってください。 (2018年6月21日 21時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Laurence x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uranaikari1/
作成日時:2018年6月17日 23時