Moon Lady (ページ34)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:2,368 hit

Episode 32 【ココアサイダー】ページ34

「真由と凛の奴、へんなの～！」

「女子ってわかんねー」

「まぁそのうち分かるさ。お前らがもう少し大きくなったらな。」

ご令嬢が真由と凛に何を教えたのかは俺は何となく察したが、翔太たちガキにはまだ分からない。まぁいずれ分かるだろうから放っておく。

「なぁ司にーちゃん！今日はまだ話してないよな!?劇見せてくれよ！」

「俺も見たーい！」

「僕もー！」

思い出したかと思いきや、劇を見せろとせがむ子供達。まだ俺には断る理由も意味も見つかっていない。

「あーはいはい分かったよ！じゃあ向こうのレディーたちを連れてきてくれるかい？勿論レディーには丁寧に優しく、忘れんなよ？」

「「はーい」」

やったー！、と言いつつも砂場へと行って女子たちの手を引いて連れて行ってる。
ご令嬢たちは、翔太たちが嬉々として連れてきてくれた。

「司おにーちゃん！今日は何のお話なの？」

「俺ドラゴン！ドラゴンの話がいー！」

「え～、私お姫様の話がいいな～！」

相変わらずのバラバラ具合である。けれど、どうせバラバラになるなら、いっそのこともう1人に聞こう。

「ご令嬢、君はどんな話が聞きたいか？」

「私？」

「どちらじゃなくてもいい。キーワードさえくれれば、俺は話そう。
君がくれる言葉のコインで、俺は話すことができる。」

ご令嬢に子供達の視線が集まる。そうすると少し考え、

「そうね…ならキーワードは『秘密』、で」

「かしこまりました…今日のお話は、ドラゴンの呪いにかかった青年ととても美しいお姫様の秘密の恋の話をしようか。」

皆が座ったことを確認して、俺は本を捲るような仕草をした。

それは、話を始める合図でもあるのだ。

「それじゃあ、今日も語ろうか」