Moon Lady (ページ30)

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Episode 28 【Laurence】ページ30

「…考えといてあげるわ」

　折角、仕返しが出来たと思えば、逆に此方がまた、驚かされてしまった。ちょっとむっとしながら、そう返しておく。

「何を怒ってるんだ？」

そんな私を見て、少し驚きと疑問を持った顔をする彼。

「なんでもないわよ。ほら、良い子はもう寝る時間でしょ、また明日ね」

そのまま追い出す形で、窓を閉めた。

・

「ね、倉木。どうかしら？」

　そして翌日、なんだかんだで楽しみな自分を隠し切れずに、倉木へと声を掛けた。その場でくるりと1回転してみせる。倉木は、理解が出来ないと首を傾げた。

が、しかし、直ぐに理解した、という顔になる。流石、優秀メイドさん。私は小さく笑って相手の意見を聞く。

「はい、大変お似合いです。強いて言えば、靴の色は黒の方がよろしいかと。＿＿お出かけですか？」

あまり派手にならないように、水玉の落ち着いた大人っぽい服装。シンプルだが、唯一ピアスが、輝きを持たせてくれる。

靴を黒に変えながら、相手の質問に頷け、不意に口元が緩む。慌てて真顔になると、倉木は少し可笑しそうな顔で、小さく笑った。

「ちょっと、笑わないでよ」

「いえ、お嬢様もそんなにソワソワされることがあるんだと思いまして。とても、可愛らしいです」

「…別に、恋愛未経験とかじゃないから。初恋は中学時代に経験済みだし」

言い訳をすれば、倉木は驚いたような顔をする。随分と失礼ね、と呟いてみれば、倉木はからころと笑い。

「それは驚きです」

「本当に失礼ね！ …でもね、私は、何でも一人でやっていたから。そんな勇ましいのは要らない、ですって」

それを言われたら、何も言い返せない、なんて当時は憤りを感じていたなぁ、と思い出す。

「さ、こんな話はもう終わり！今日の仕事を始めましょう」

「はい。書類、お持ちしますね」