Episode 14 【ココアサイダー】 ページ16
「まったく、お前は女に弱いからこうなるんだ。」
「悪かったってスピカル!俺もこの通り、反省しているぞ!?」
「お前の反省は聞き飽きた。」
翌日、先に帰って来ていたスピカルにこっ酷く怒られた。
今回も俺がレディーに甘くしたことを根に持っているらしい。自業自得だ。
「しかし、まさか理香子お嬢の髪飾りに聖母マリアの涙が隠されているとはな。いつ気づいたんだ?」
「とある逸話にこんな話があるんだ。宝は女の中に隠せっていうね。
聖母マリアの涙含め宝石は美術館内で披露されたから、警察も客人もご令嬢も知らず、恐らく知っていたのは丹波家当主のみ。
けど聖母マリアの涙の特徴…スピカル、何だったか覚えてるか?」
俺の問いに少し考える仕草を見せ、苦虫を噛んだような表情になる。
「…月の光に当てると水色に光る。」
「そう。だからバルコニーにいたご令嬢のダイヤの髪飾りが水色に輝いていたんだ。室内ではただのダイヤに見えるけれどね。」
ただ、髪飾りに隠した理由は多分別にある。
「これは俺の推測でしかないんだが、この方法丹波家当主は自分の手は汚さないつもりだったと思う。」
「どうしてだ?」
「普通に考えてみろよ、あの時当主は避難という形であの場には居なかった。つまり盗まれたのは自分のせいじゃないとアリバイを作ったんだ。そして、」
テレビのリモコンのボタンを押す。
昨日とは違って朝の報道番組には、彼女はいた。
大勢のマスコミに囲まれ、詳細をせがまれ、それでも黙り続ける彼女の姿。
「俺に聖母マリアの涙を盗まれたが何も知らされていなかったご令嬢に罪をなすりつけたんだ。」
「…下衆な男だな、自分の娘にそんなことする奴がいるか?」
「いや、当主は彼女のことを娘だなんて思っていないさ。でないとこんな陰湿なことしない。」
だからこそ、彼女が憐れに思えた。
「だからスピカル、彼女を盗もう」
「あぁ……は!?」
俺の家にスピカルの叫び声が響いた。
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夕焼けと白猫 - とても面白いです。 更新、頑張ってください。 (2018年6月21日 21時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Laurence x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uranaikari1/
作成日時:2018年6月17日 23時