Moon Lady (ページ12)

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Episode 10 【ココアサイダー】ページ12

破裂音が美術館内に響く。銃声にも聴こえる其れは、連中を騒がせるには充分すぎるものだった。

「舞台は大混乱、お宝の周りには警察がいる。何ともまぁ…」

＿＿最高の舞台じゃないか。

喧しい連中を押しのけ、周りが見てないことを確認して、裏口の隠し部屋に入る。
20時50分を回ったら監視カメラは機能しなくなるように細工済みだ。

「さて、煙が引いたらショータイムの幕開けだ。」

いつもの銀色の仮面を付けて、扉を開けた。

「Ladies & Gentlemen、素敵な夜をお過ごしですか？」

「誰だ！？」

「誰だ、と聞かれましたらお答えしましょう。
僕の名前はシャルル。しがない泥棒です。」

怪盗シャルルが現れたと大騒ぎする中、俺の周りは警備隊で埋め尽くされていた。

「ふはは、観念しろ怪盗シャルル！今日という今日は貴様を捕まえてやろう！」

「おやおや、警部ったら怖いなぁ。
僕を捕まえるなんて無理難題なこと言わないでくれよ。」

「そうか？かかれ、必ず仕留めろ！」

警部の一声で俺に飛びかかるように迫ってきた警備隊。
やれやれ、血気盛んなことで…

ひとまずワイヤーで天井へと上り、彼等を天辺から眺めるように見下ろす。

「相変わらず獣みたいだね、警察って。
やれやれ、早く此処から出ようか…これも手に入れた訳だし。」

胸ポケットから取り出したお宝を見せると、誰もが目を丸くして俺を見た。

「そ、それは！聖母マリアの涙！！」

「というわけで僕は此処で失礼します。
どうぞ優雅な夜会をお楽しみください…続けられるのならね？」

「か、怪盗シャルルを！誰か彼奴をひっ捕らえろぉぉぉぉぉ！！」

再び警備隊が迫ってくるため、バルコニーへ駆け込む。
彼処からグライダーで逃げる寸法だ。

「怪盗シャルル…！」

「君は…」

ただ、計算外だったのは彼女だった。