声を聞けば良い ページ24
「お〜い、何処にいるの、マスコット〜？」
森の中にほたるさんの声が響く。
その後ろにらぁらちゃん、にいなさん、私の順でついて歩いている。
「ほ、ほたる……ちょっとお待ちなさい……」
にいなさんのその言葉は、きっと私とらぁらちゃんの心も代弁していたに違いない。
だって……碌に整備もされず、草が大量に生えている道を、ほたるさんは何も無いかのように進んで行ってしまう。
その後ろで私達は、草に脚を引っかかれ、根っこに躓き、足首を捻りかける始末。
ほたるさんについて行くのがやっとなくらい。
「皆どうしてそんなに疲れてるの？大丈夫？
まだまだ道は長いから、頑張って行くよ〜！」
「か、かしこまぁ……」
らぁらちゃんの声にも覇気が無い。
こ、このままじゃ最後尾の私はついて行けない……。
「どうやったら楽に歩いて行けるんですか……？」
私の疑問にほたるさんは不思議そうに首を傾げた。
「どう、って……植物の声を聞けば良いんだよ。
ここを通れば道が平らだよ、とか痛いから根っこは踏まないで、とか聞こえるでしょ？」
私とらぁらちゃん、目が点。
にいなさんは呆れたようなため息をついた。
「あのねぇ、ほたる……それを感じ取れるのはあなただけであって、決して私達皆ができるわけじゃ無いですわよ」
「そうなの？３人とも、分かってると思ってた」
「ふふ、全く、あなたは昔からそうですわね。
初等部の時にもチューリップを完璧に咲かせられたのはあなただけ。
どうやったか聞いたら花に言われたと答えるばかり。
あの時は困り果てましたわ」
クスッと笑ったにいなさんに、ほたるさんは頬を膨らます。
「困ったのはこっちだよ〜、何度もどうやったのって聞かれたんだから。
花に言われた以外の言葉も思いつかなかった頃だったし……痛っ！？」
突如ほたるさんの言葉が途切れ、代わりに悲鳴が上がった。
何かが頭に当たった……いや。
「何か落ちてきたぁ〜」
涙目で頭を撫でながらほたるさんがその何かに視線を向ける。
「あっ、これって！」
らぁらちゃんの顔がパッと明るくなった。
よく見ると、それはクリーム色をしている……卵？
「マスコットの卵だ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ココナッツ食べてみたい - うわー！！三人がチーム組むって最高です！！これからも凄い楽しみです！！ (2022年7月3日 3時) (
レス) @page37 id: a712576104 (このIDを非表示/違反報告)
れもんどろっぷ。(プロフ) - ココナッツ食べてみたいさん» ありがとうございます！励みになります……(*´∇｀*) (2022年4月18日 18時) (レス) id: b284b3bf7b (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ食べてみたい - すっごい面白いです！！これからも頑張って下さい (2022年4月16日 8時) (レス) @page33 id: a712576104 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れもんどろっぷ。 | 作成日時：2021年7月27日 18時
