23話 ページ25
「ほな帰ろか」
『押忍っ!』
「なんの気合い入れとんのや」
『帰る気合い…?』
「?」
『はよ帰りましょォ!!』
せめてなんやそれ〜と笑って欲しい。純粋な「?」は少し心にくる。
キタ先輩は少し突っかかりずらいけどどこか一緒にいると安心感がある人だ
話しかけられたあの日から何度か話して不意にそう思った。
「自分、まださっきのこと気にしとるんか」
エスパーかよ。
デジャブである。前にも思ったけどこの人には読心術でもあるのか
『まぁ、はい…。やって、なんか贅沢でバカみたいな悩みを話してしもたから…』
「ははっ、ほんまに今狐さんはいい子やなぁ」
『えぇ…どっからいい子ってなるんですかぁ…』
ポンっと頭にキタ先輩の手が乗っかった。
され慣れてないことをされるとドキドキするのは仕方がない。しかも異性に。
ポンポンポンと優しく叩かれる。あ、なんか煩悩消えそう…
『うぅ…いつまでやるんですかそれ…』
「いい子なこと自覚したら調子乗りそうやしもうやらんし言わんわ」
『急にディスやんけ!上げて落とさないで下さぁい!』
「でぃす…?」
『うおぉん…ツッコめねぇ…』
この人の隙の無さは天然ものである。
今日のキタ先輩はよく笑う。いつも話している時は大抵真顔というか常に真顔だし。
キタ先輩は笑うと表情が幼くなって可愛いんだなぁ…恵奈が前に言ってたギャップ萌えとか言うやつかな…
『と、とにかく!今度なんかどっか行きましょうよ!私の話を聞いてくれたお礼ってことでなにか奢らせて下さい!』
謝罪。とか言ったらまた躱されてしまうからお礼ってことで。
「ほな、お言葉に甘えて奢ってもらおうかな」
『た、高いやつとかは無理ですからね』
「どないしよかな」
『えぇっ!?ほんまに無理ですからね!!』
また笑ってる。キタ先輩って冗談とか言うのか。やっぱり結構可愛い。
あ、私キタ先輩のこと好きなのかも?
真摯に私を家まで送り届けてくれたあとそう思った。
でもなんか、違う好きだ。コレ。
77人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚子檸檬 | 作成日時:2024年2月18日 9時