おまいらへの気持ちを語ってやった【稲荷崎】 (ページ24)

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22話ページ24

「や〜いい写真撮れたわ〜」

『私を置いてギャラリーに行きやがって…』

「ごめんて」

『ええよ』

「ええんかい」

前キタ先輩の連絡先ぐらい聞いておけばよかったかもしれない。
週に1回やってくる図書室当番の時にしか会う機会はないし。

ギャラリーからキタ先輩を見下ろす。
あ、交代したレギュラーの人にアドバイスしてるのかな、

「あの人がAが言っとった先輩？」

『そう、キタ先輩』

「フフフ、そんな熱心に見つめちゃって…キタ先輩のこと好きなん？」

『ハァ？すーぐそうやって恋愛に結びつけるよなぁ、女子って』

「Aも女子やで」

時刻は17時。練習試合も終わり片付けに入ろうとしている。

「バレー部も終わりそうやし、帰るかぁ

…A？帰らんの？」

『うん、ちょっとね』

「おーおー、キタ先輩にアタックするんか」

『しません』

「即答やな」

また明日な～とお互いに手を振って恵奈とは別れた。
ギャラリーにいつまでもいる訳にはいかないので体育館の出口に座り込んでキタ先輩を待つことにした。

…出待ちも迷惑では？
いや、大丈夫。多分。うん。

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どのくらい経ったのだろうかと思って携帯の電源をつける。
あ、待ってから20分経ってる。

20分の間に大半の部員たちは体育館を出て帰って行ったようだがキタ先輩の姿は見当たらなかった。
体育館から出ていく部員たちの視線は少々痛かった。

『(まさか知らない間に帰ってるとか…)』

有り得る。いやでも体育館の明かりついてるし、鍵閉まってないし…
ちらりと扉から体育館を覗いてみるが部員の姿はなかった。
中入って見て確認してみる…?最悪忘れ物取りに来たって言えば難を逃れるでしょ

律儀に体育館ばきに履き替えて中に入る。

すると、キュ…キュ…となにかの音が聞こえてきた

『(え、え、ええ何！なんの音！！オバケ！？しぬ！！まだ残ってる人!?どっち！！！)』

プチパニックになりながらも音のする倉庫に向かう。我ながら勇者である。

半開きの倉庫を見るとボールを拭くキタ先輩がいた。

『うおっ、キタ先輩…』

「ん、なんや今狐さんやないか。忘れ物か」

『あ、いやぁ…えと…そぉなんですよ、ハハハ…』

キタ先輩待ってたんですって言ったらまるで恋する乙女じゃないか！

「もぉ少しで終わるから待っとき。」

『エ、ハイ』

「日も落ちて暗いから送ったる」

正しく紳士の行いであった。