おまいらへの気持ちを語ってやった【稲荷崎】 (ページ23)

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21話ページ23

ナイッサー！！
ナイスキー！！
1本で切るぞー！！

うちの部活でも飛び交う言葉が耳に響く
恵奈は良い被写体ばっかりや…っ！！と言ってカメラを手に構えてすぐどっか行った。手伝えって頼んできたくせに。
おかげで体育館に入るタイミングを見失って扉の前に突っ立っている。

外から体育館を覗くと男子バレー部は他校と練習試合をしているようだ。

『今日は練習試合でもユニフォーム着てやってるんだ』

恵奈が今日にこだわってた理由はこれか。確かにユニフォーム姿の方がカッコよく撮れるし。

試合をしているメンツに目を向けるがキタ先輩の姿は無い。
ベンチかな？と思ってもあの特徴的な髪色は見当たらない。

「今狐さん」

『ぎゃっ』

背後からキタ先輩が現れて思わず声を上げてしまった。
この人気配とか無いんか。

「今日女子バレー部休みやろ」

『えっと、友達の部活の手伝いをしに来たんですけど…肝心な友達が私を置いてギャラリーの方に行っちゃいまして』

ハハハ、なんて乾いた笑いをこぼす。

キタ先輩、ユニフォーム着てない。
手にはバインダーとドリンクボトルの入ったカゴ。

『キタ先輩ってスタメンじゃなかったんですね』

「そうやな」

思わず口からこぼれた言葉

やってしまった。
すごく繊細な話題だ。これは。

変な汗が背中に流れた。
前、キタ先輩に私は特に頑張ってもなかったのにスタメン入りを果たしたのはウンヌン…の話をしたことを思い出したからだ。
だって、嫌じゃないか？キタ先輩はきっとしっかりバレーボールと向き合って練習に励んでいるはずなのにスタメンじゃなくて、バレーボールに向き合いきれてない私がスタメンっていうのは。

『す、すみません。前にあんまデリカシーない話したことも…』

「いや、気にしてへん」

私はめちゃくちゃ気にします！と言葉を投げかけるが、本当に気にしてないし話題を振ったのは自分だからだと言って体育館の中へ入っていった。

なにか、何かキタ先輩にしなければ気が済まない。

何が良いんだろうか、男子って食べ盛りだからご飯を奢る？いや、安直過ぎないか…

「A！まだ入ってきてなかったんか！めっちゃええ写真撮れたから見てみぃ！！

ウワ、ナニ難しい顔しとるん」

『や、お詫びとして何したら良いかなって…』

「えぇ…知らん間に何やらかしたん…」