20話 ページ22
『…いつも通り?』
「そうや。コートに立ったら練習でできてたことが出来んくなるのはまあ良くあることや。緊張とかでな。
実際、試合しててそう思ったんとちゃうか。」
『言われてみれば、チームが少しピリついてた感はあったかもしれないです。新体制になって練習とかしてたけど実践で連携が上手くいかなかったりしてたし…』
「でも、今狐さんはそうやない。
いつでも冷静にコートん中立ってられるんやろうな。圧の強い相手がいても、サーブの強い相手がいても、スパイクが強烈なやつがいてもな。常に俯瞰して見極める。
それが今狐さんの強みやと思うよ。
そんでそれを誰かが見ててくれたから選ばれたんやろなぁ」
なんとなく、腑に落ちた気がする。
勝敗がかかっていようがいまいが、試合で怖いだとかミスしてプレーに支障を出したらだとか思わない。ただ、練習でやったことを実践するだけ。
『ありがとう、ございます。もうちょっと自信もってチームに貢献できるようになろうって思いました。』
この人はきっと強いひとなんだろう。
よく知らない後輩に気遣いとかじゃなくて素直に思ったことを伝えてくれたんだと思う。
「話しかけたついでやけどな、返す場所わからん本は適当な場所に置くんやなくて俺とかに聞き」
『す、すみません(バレてたッ…)』
本日2回目の指摘。
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「A、最近丸くなったな」
『ウソ、運動しとるし平気やと思っとったんやけど』
「そっちの意味じゃあらへん。…なんやろ、雰囲気…?」
『なんそれ』
「や、なんちゅーか柔らかくなった的な」
『ふぅん?』
適当に流してお昼ご飯のおにぎりをパクリと食べた。
「ね、A今日部活休みやろ?ウチの部活の課題写真手伝ってくれへん?」
『えー、まあ、ええけど…』
どうやら部活動中の写真が課題らしく、恵奈は男子バレー部の写真を撮ることにしたらしい。
そういえば、キタ先輩もバレー部入ってるって言ってたな。
レギュラーの人なのだろうか。なんか強そうだし。と単純な理由をつけて放課後は恵奈について行くことにした。
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作者名:柚子檸檬 | 作成日時:2024年2月18日 9時