19話 ページ21
北さんとは、中学校が一緒だった。
1年のときの委員会決めで適当に選んだ図書委員会。私と同じ曜日担当をしてた顔見知り。
「えー、では三年生も引退をしたので1、2年で新体制を作った。呼ばれたら前に来てユニフォームを受けとるように」
「はーい」と少し伸びた返事をする。
入った部活はバレーボール部。
私の通ってた中学もまたバレー部が強くて部員数もそこそこ多い。
別にこの中学のバレー部は強いから入部した訳じゃない。特別入りたい部活もなかったから何となくで入部しただけ。
この夏に引退した3年生たちの最後の試合で私は応援側として試合を観ていた。
順準決勝敗退。
コートに立っていた部員も応援していた部員も悔しそうに泣いてた。
『(私は別に悔しいと思てへんな)』
正に他人事だった。今思えば結構冷めてる。
適当に決めた分、さほどバレーに熱が無かったのかもしれない。
「次!今狐!」
『えっ、』
一瞬戸惑ったけどすぐに先生のところへ小走りをしてユニフォームを受け取った。
『(なんで私がユニフォーム貰えたんやろ)』
沢山いる2年や私よりガンバってる1年もいるのに
何となく複雑な気持ちになってあんまり嬉しくなかった。
〰〰
「最近、いそがしそうやな」
『っあ、ハイ、イイエ?』
「どっちや」
本の返却中、急に話しかけられたんだからしょうがない。
名前、なんだっけ
南…いやそんな南国!サマーイズサマー!!って感じじゃないし、西…関西出身です!ワハハ!!っていう感じの名前でもなかったし…
「北」
『ハイ、キタ先輩。』
エスパーかよ。
心の中で静かにツッコミを入れた。
「部活で新体制になったからせわしないやろ」
『そう…ですね、引き継がなきゃいけないこととか色々』
「今狐さん、レギュラー入りしとったもんな」
『なんで知ってるんですか!?』
声のボリュームがでかいと指摘され手で口を覆いすみません…と弱々しく言った。
なんかこの先輩、圧力すごいな
というか最初の委員会の集まりで自己紹介しただけなのに私の名前覚えてるんだ。
「こないだ他校と練習試合しとったやろ。そんときコート入ってるの見たんよ」
『…、2年の先輩とか私よりガンバってる1年がいるのに私がコート入ってるのちょっと変ですよね〜』
やば、返答に困ること言っちゃった
こんなん自意識過剰なやつが言うことだ
「何言っとるん、そんなん今狐さんはいつも通りができてたからや」
77人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚子檸檬 | 作成日時:2024年2月18日 9時