【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

話す機会 ページ44

目を覚ますと、真っ先に目に入ったのは…


『…与謝野女医。』


嗚呼、そうか。私はあの男の拷問と自分の異能で死にかけてたんだっけ。

それで…太宰に急に接吻されて__________


『はぅあっ！』


「何目覚めるなり奇声をあげてるンだい。鳥渡大人しくしてな、太宰達呼んでくるから。」


え。なんて抗議の声を上げる前に、治療室から出ていってしまう。

私は、皆に説明しなくちゃいけない。

自分の恐ろしい異能力について。

そしたら、皆は何て云うだろうか。

忌まわしい、なんて云って避けるだろうか。

居場所は、なくなるだろうか。

若しくは…


「A！無事でよかった…！」


扉を物凄い勢いで開けて、私を見るなり笑顔で抱きついてくる太宰。

其の背後には、鬼のような形相をした国木田さん。

心配そうな顔の敦くん。

其の横にぎゅっと彼の袖を掴む鏡花ちゃん。

屈託のない笑顔を向けて呉れる賢治くん。

今にも泣きそうな谷崎兄弟。

珍しく眼を見開いた乱歩さんと、

静かに目を瞑って溜息をつく社長。


『あははっ…ご心配お掛けしました。』


「あはは、じゃないだろう。貴様らはどれだけ我が社に心配を掛けさせれば気が済むのだ！」


国木田さんの、クドクドと長いお説教を一通り聞き流した後に、


「だが、善くやったぞ。」


なんて。そんな嬉しい言葉、予想してなかったなぁ。

こんな、思ってもらってたなんて。

そう声を掛けてもらえるなら、心配してもらえるなら。





それなら私は、幾らでも此の身を捨てる。




大事に思って呉れるその人たちの為に、

今の私は此処にいるのだから。



きっと、彼らなら。





『________皆さんに、お話があるんです。







私の、異能について。』

言葉→←結末

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