【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

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『…で。欲しいのは、太宰の何？』


ここは敢えて強気な態度で出よう。

マフィア時代、森さんによく云われたものだ。

"常に先手が勝つ"と。

勝ちに行くためには、強気な態度でいる事が大切。

私なりの見解だけどね。


「ははっ、強気だなぁ。僕は、君の命を頂こうと思ってね。」


大胆なものね。

堂々と命を頂く、だなんて。

ターゲットを前に普通に云ってしまうところ、

かなり手馴れていることを感じさせるね。


「ああ、只ね。あの男の前で、っていう事が絶対条件だ。」


太宰の、前で？私を？


『何故彼の前で私を？』


私はこの人と関わりを持った事がない筈。

恨みを買った事は間違いなさそうだけど…原因は、何処に？


「僕はね、太宰が大嫌いなんだ。噂によれば、君らは恋仲なんだろう？」


だからだよ、とカラカラ笑う。

何故、それを。この人が。

確かにそう。でも、そんなのつい最近の話で。


『…だったら何だと云うんですか。』


「絶望の顔がね、見たいんだ。」


目の前で冷笑を浮かべたこの男は、本当に性格が捻じ曲がってるのかもしれない。

それに第一、そんな事であの太宰治が絶望したり、心が折れたりする筈がない。

そんなヤワな奴だったら、マフィアの幹部…況してや最年少でなんてやってなかったと思う。


「彼の事だ。どうせそろそろ来るんだろ？」


来ないよ。だって、太宰の事だし。

なんだかんだ云っていい人。だけど、助けに来るかは別の話。

態々私の為に危険に身を晒す事なんて。


「…やぁ。察しが良いね。扨、Aを返してもらおうか。」


音も無く開けられた扉。

気が付けば男の背後に、あの日と同じ黒い笑みを浮かべた太宰がいた。

異能力→←太宰という男

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