つ か さ く ん と ？【 地 縛 少 年 花 子く ん 】

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｢却下。
おまえ、要らない恩を売ろうとするから嫌い｣


｢俺はAのこと好きー｣



ラジオを机に置きながらそんな告白を聞くが聞き流す、というか無視していつも桜先輩が座っている椅子に座る。
図書室の本だろうか、難しそうなそれらをパラパラとめくる。

つかさがおもむろにこっちへ寄ってきて、A、と呼ぶ。返事をせずに視線だけそちらへ向ければ、そいつの姿はなく。私の胸元、正確には鎖骨に顔を寄せるとヂリっとした痛みに声がこぼれた。



｢った、…ちょっと｣


｢くひひ、俺のって証！｣



スクバからポーチを取り出し、パウダーの鏡で確認する。白い肌には目立つ赤く染まった跡。
なにしてくれてんの。



｢ほんとおまえ嫌い…！｣


｢俺は好き〜｣



嫌いと言えば好きという、こいつの言うことなんて信じない。信じたくない。軽率にこんなことしてくるやつなんて知らない。

どうせ他の子にもこんなことするんだ。桜先輩との距離も近いし、トクベツになんてなれない。なりたくもない。



｢Aは俺の、でしょ？｣


｢…じゃあつかさはあたしのなワケ？｣



不毛だ、こんなやり取り。あたしがこうやって言い返したって、こいつはなんにも思ってないんだ。

チラッと寄越した視線、そいつは時が止まっているかのように私をじっと見ている。なんだと思って首を傾げれば、なんともまあ愉快に笑う。



｢Aは俺ので、俺はAの？
…ひひ、いいよ｣


｢は、｣


｢俺はAのデショ？｣



抱いた感情に嘘はつけるか。
私は馬鹿か、阿呆か。
これは恋か、それとも愛か。

こんなの、望んでなんかない。
期待もしてなかった相手に、私は！

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