秘密の箱庭ーjump×jumpー (ページ9)

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ちょっと古そうなお店。

手動で開ける式のドアだった。

開けてみると、いい花の匂いが漂った。

「いらっしゃいませ」

ちょっとクセのある声がした。

声のした所を見てみると、俺よりもはるかに小さいやつがいた。

「けい兄ちゃん？お客さん来たよー？」

「あ、今行くー」

お兄ちゃん…ここは家族経営なのか？

どの花も全部素敵だ。

だかあそこに刺す花は決めてあるんだ。

あの女王様のお陰で。

「いらっしゃいませ、
　今日はどんなお花を……

　あれ？あなた、この店はじめての方ですか？」

声のした方を見てみる。

________不覚にも、綺麗だと思った。

「…お客様…？」

「あ、はい、
　初めてです、」

「あ、じゃあ…
　はい。これ。

　初めてきたお客さんには、サービスで提供してるんです。」

と、カモミールの花を差し出された。

そして続けるように

「その花の花言葉は「これからもよろしくお願います。」です、
　また来てくれると嬉しいな…っていう浅はかな思いですが…」

「…素敵ですね、」

「…え、あ…
　ありがとうございます…」

こんな汚れた街でも、こんな、可愛らしいサービスがあるなんて知らなかった。

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