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ガチャ



「ただいまぁ」


そう疲れ切った様子で、再度、帰宅してきた彼。


「どうだった?」


「どうだったって何が?」


「裕翔との飯。
 どんなところ行ったんだろうって気になって、」


嘘。全部知ってる。
わかってるけど、知らないフリをした。


「え?普通にうまかったよ、」



フフッとどこか嬉しそうに微笑む山田。
可愛らしいその笑み。



その笑みの、合間に覗く、
ちょっぴり寂しそうな表情をする。


その意味を、知りたくて。
でも、知らない方が、いい気がして。


いつから、そんなに嘘が上手になったのだろう。


何も聞けない自分が、
もどかしかった。




「どうする?もう寝る?
 明日早かったよね、」



「あぁ…ごめん、そうするわ。」



そう言い、ベッドで眠る山田の隣に座った。
窓をボケっと見てたけど、
この感情をぶつける先なんて、見つかりやしなかった。




体制を変えて、横たわった。
山田の寝ている横顔をまじまじと見る。




改めて見ると、
それはあり得ないぐらい綺麗で、

儚く、消えてしまいそうだった。





ずっと、拒んでいる、
その質問ができたら、どんなに楽か。




何十回と、聞こうと思った。
でも、そんな度胸なんて持ち合わせているわけなくて。
その質問ごと、夜に溶けていった。




山田の頭をそっと撫でた。
まだ温もりは感じてた。





信じられるものが、
今、それしかない現状に、


胸が、苦しく、
ざわついた。









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作者名:Mongen!? | 作成日時:2021年2月7日 18時

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