第１７０話 ページ21
翌日、ホームルーム。
「えー…そろそろ夏休みも近いがもちろん君らが３０日間１か月休める道理はない」
夏休み、林間合宿やるぞ。
その担任の一言にクラスは大いに盛り上がった。肝試し、カレー、花火、といった叫び声が聞こえる。
「ただし…その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は…学校での補習地獄だ」
だが相澤の鬼のような一言にクラスは一致団結した。
その中で一人、喧騒をほほえましそうにに眺めながらも、普段と少し様子が違う人間がいた。
(……)
机の上で、半分以上濁ったソウルジェムを転がしながら薄く息を吐いた。
前の席の爆豪は気付いていた。Aの目の色が暗い色を示していることを。気付かないような小さな差、彼が気付いたのは良く彼女を見ているからだろう。
当日、昼休み。
いつも昼を共にする彼女は今日は居なかった。切島と上鳴、瀬呂も不思議そうな顔をしてこちらを見ているので「ちょっと用事あンだとよ」と彼女のことを伝えた。
爆豪は今朝の状態の彼女を思い出して、今は彼女を一人にしておきたくないと思っていた。そのため、いつもより早く昼食を済ませ、席を立つ。
「はえーな」と言う切島に「うっせ、俺も用事あンだよ」と切り捨て、食堂を後にした。
あの状態の彼女がいる場所は大体検討がついていた。
爆豪においていかれた三人も昼食を済ませ教室に戻るがその場にAと爆豪は居なかった。不思議に思いつつ、暇つぶしのその話題で会話をしていると
「ん？ Aがどうしたの？」
と耳郎が声をかけてきた。
「いや、昼飯いねーし、爆豪もどっかいっちまってよ」
という切島の言葉に、教室にいた芦戸と麗日が食いついてきた。
「まさか二人で密会とか？」
「ついに出来たんかな？あの二人」
「爆豪は知らないけど、Aなら今音楽室にいるんじゃないかな」
という耳郎。
「なんで？」
「さっき相澤先生に、昼休み音楽室使っていいか聞いてたから」
その言葉に首を傾げたが、二人の動向が気になったため、６人はめったに足を運ばない音楽室へ向かうことにした。
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作者名：玲音 | 作成日時：2020年7月21日 18時
