第１５１話 ページ2
「あれ、ごめんうるさかった？」
首を傾げてこちらに尋ねる彼女にそんなことないと首を振った。そうすると、よかったと呟き、横来る？ というように目配せしてきたので彼女の隣に座った。
「趣味なのか？」
「まぁ、そうだね。音楽は好きだよ。個性関係でもあるけど」
「そうか。俺音楽のことは詳しくねぇから、上手くいえねぇけど。すげぇな。本業の人みたいだった」
「そうかな。…ありがとう」
「………っ」
ふわりと嬉しそうに笑う彼女に心臓が妙な動きをしたのがわかった。
「そういやあいつに聞いた」
「何を？」
「Aがここに職場体験に来た理由」
「あぁなるほど」
「やっぱすげぇなお前。尊敬する」
「ほんと君は素直に褒めるね！？」
ちょっと勘弁してなんか照れる、と少し赤面しながら困ったように笑うA。
「いやすげぇと思ったから言っただけで」
「…、う、うんありがとう」
「照れてんの可愛いな」
「うんごめんちょっとまってちょっと黙ろうか」
動揺したのか妙に早口に言うAが珍しくて、口角が自然と上がった。口を覆って照れながら笑う彼女をもっと見ていたいと思った。
そんなこんなで職場体験一日目の夜は更けていく。
二日目。Aと轟はエンデヴァ―とともに保須市へ赴いていた。Aは一度二人と別れ、保須警察署を訪れる。
警察署にて今回の行方不明について詳しいことを聞いた後、再び彼らと合流し今は市内をパトロールして歩いていた。
「エンデヴァ―さん。今んとこ何もないですか？」
「あぁ、まぁまだ真昼間だからな。軽いいざこざ程度だ。Aは署に行って何か収穫はあったか？」
「んー残念ながら真新しい情報はなかったみたいですね」
「そうか。お前は目星はついているのか」
「まぁ多少は」
「どうする」
「別行動で、いいですか」
「あぁ、かまわん。何かあったら連絡しろ」
「承知しました」
そうしてAは再び一人で行動を始める。
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作者名：玲音 | 作成日時：2020年7月21日 18時
