第７９話 ページ30
｢…あっちィ｣
満員電車で人口密度が高いため、車内の温度はかなり高かった。爆豪のこめかみから汗が流れて、首へと伝う。
はぁ、と吐き出されるため息が妙に熱く感じられた。
｢…っ、｣
今までにないくらい心拍が早くて、密着しているから彼に聞こえてしまうんじゃないかとひやひやする。
次の駅で電車が止まって、人が減ったと思ったらそれ以上に増えた。
上がる温度、決して楽ではない体勢、それから今日の授業の疲れも相まって思考がぼやける。
それに加えて、目の前の気だるそうな彼が何故かとても色っぽく見えてクラクラした。
｢…まだ、１駅かよ｣
｢ぁっ…、｣
耳元で呟かれて、ぴくんと体が震えた。密着した体を通して、それが彼に伝わってしまった。
｢…A？ …大丈夫か｣
｢……っ｣
様子を伺うように耳元で囁かれ、余計に身体が震える。
｢…おい？｣
｢ーーっ、…そこで、喋んないでっ……｣
｢あ？｣
小さすぎて聞こえなかったらしい。爆豪は眉を顰めた。
｢っ、だから…。耳元で…喋っちゃだめ……｣
｢ーーっ…！｣
少し声を大きくして伝えたら、彼は目を見開いて顔を背けてから
｢……悪い｣
と小さく呟いた。
彼の耳は、赤い。自分も耳も頬も熱を持っているのがわかる。自分の心拍に混じって、彼の心拍が伝わってきた。自分と同じくらい早いように思えた。
(…かっちゃんも？ 同じ？)
目の前にいる彼も、似たような感情を持っているのだろうか。Aがよく分かってない、この名前のつけられない感情を。彼はこれが何か、知っているのだろうか。
｢…っ｣
聞くことは何故か出来なかった。口から言葉は出なかった。
心拍の速さが、頬の熱が、その動揺がそれを許さなかった。
そんな２人を見守るように大勢を乗せて、ガタンゴトンと電車が揺れる。
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フブキ - 緑谷が「緑屋」になっていましたよ (2021年5月22日 11時) (
レス) id: b8e9bbbdfb (このIDを非表示/違反報告)
インマニエル - あの（相葉消太）って誰ですか？ (2021年4月23日 23時) (レス) id: b8bed17887 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 空間移動に金属矢…まるでとあるお嬢様みたいですね(いい意味で言っております) (2020年10月12日 15時) (レス) id: 19bf75ec07 (このIDを非表示/違反報告)
玲音(プロフ) - 唐瓜さん» ありがとうございます^^* 励みになります！ (2019年11月28日 11時) (レス) id: 6ec3c7d086 (このIDを非表示/違反報告)
唐瓜(プロフ) - はじめまして！面白くて楽しく読んでおりました。再開してくれてとても嬉しいです！！また気ままに更新してくれると嬉しいです！ (2019年11月28日 5時) (レス) id: 3816d577a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玲音 | 作成日時：2018年10月22日 23時
