【ＭＨＡ】最強の女だけど救けてほしい３【ヒロアカ】 (ページ37)

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第四十話　左衛門三郎ページ37

「？！？！」

　ぎょっと目を見開いた物間寧人。及び私の大切な同級生たち。

「私は妊娠しています。予定日は一ヶ月前に来ました」

　私は大きく膨らんだ腹部をさすって、制服からマタニティウェアに着替える。制服だと腹部を苦しめます。〝彼〟が可哀想です。

「なっ、えっ、は？！？！」

　慌てて駆けつけた物間寧人に支えられ、とてつもなく慌てている彼を見上げる。

「待って、Aちゃん妊娠してるの？！いつから？！」

「父親は誰だ左衛門三郎！今すぐお父さんに言いなさい！」

「物間寧人です」

「おい物間……いつAと……」

「物間くんがそんな人だったなんて思わなかったよ予定日が先月なら妊娠が発覚したのは……」

「クソデク！！！！逆算すんな！！！！」

　みんなも祝福してくれているようで何よりです。一ヶ月お腹の中で成長を止めた甲斐がありました。

「上鳴電気、出産の為集まりには……」

　瞬間、何かが破裂した。

「Aちゃんもしかして破水しとらん？！？！」

「えっ？！てことは生まれるの？！ここで？！？！」

「左衛門三郎さん、必要なものがあったら教えてください！私が出しますわ！」

「ではタオルを……」

　そう言っている間にも頭が出てくる感触がした。痛いです。いや、痛くないとイメージをかけて下着を取っぱらってしまいましょう。

「あっ」

　するんと出てきた〝彼〟を受け止め、私は生まれたばかりの赤ん坊を凝視する。

「うっ、生まれたああああ？！？！」

　彼は、猿のようだった。

「安産で良かったですわ！こちらタオルですの！後はこの子を泣かせなければ……」

「泣きなさい、アントーニウス」

　言うと、アントーニウスが大泣きした。雄英高校の校門前で響き渡る産声は、他の人間の目にも止まる。

「えっ？えっ？えっ？」

「物間、何ボサッとしてんの！息子だよ？！あんたの！」

「僕の？！いや待ってくれ拳藤、まだ受け止めきれな……」

「つべこべ言わずにAちゃんいたわれ！漢らしくねぇぞ！」

　切島鋭児郎に発破をかけられ、泣きじゃくるアントーニウスごと物間寧人に抱き締められる。

「物間寧人、けっこ……」

「言うなバカ痴女！！！！」

　怒られました。久々に痴女と言われましたが、私が何をしたと言うのでしょう。

「――僕と結婚してくれ」

　その言葉は、私を泣かせるのに充分だった。アントーニウスと一緒に泣いて、物間寧人を困らせてしまった。