第三十話 緑谷出久 ページ1
この二〜三週間、ずっと黒の組織の逮捕情報が続出していた。デンマーク国籍の女性――左衛門三郎ゴンザレスさんの無事は報道されていたが、刑務所を襲撃した犯人は未だに捕まっていない。
それが、Aちゃんを暴走させている原因だった。みんな、そうだと思って疑わなかった。
「あ〜……、寿限無如来のことだがな」
ホームルームの最後になって、相澤先生がそう切り出す。僕たちは全員息を呑み、凍った教室の空気を肌で感じた。
「とあるプロヒーローが奴の未来を予知したらしい。そいつからお前らに協力要請が来た。明日、寿限無如来捕獲作戦を決行する。仮免を所得した生徒の中から希望する者は寿限無如来の捕獲を頼みたい」
「さえちゃん捕獲するんですか?!?!」
「上鳴ちゃん、声が大きいわ」
「マジか! 行きます! 行かせてください!」
みんな前のめりになって相澤先生に名乗り出る。僕ももちろん手を上げた。
プロヒーローになる為に必要な免許の仮免許。それをこの時期に手に入れられたのは幸運だと思う。
僕たちはみんな、Aちゃんを救けたかった。それを願って、ずっとずっと叶わなかった救けるという行為を正しい方法でできるのだと感じる。
「警察だけやなくてヒーローも動いとったんや……!」
「けどよぉ、本当に捕獲できるのか? あの寿限無如来だぞ?」
「捕らえても捕らえても逃げちゃうからね」
「……悪気はないのでしょうけど」
「でも、ヒーローがゴンザレスを捕まえる為に動いたなら黒の組織だって潰せるでしょ!!」
「うんうん! もう寿限無如来ちゃんだけが戦うようなことにはならないんだよね!」
→みんな、頑張ろう!
→いやきっとそれだけじゃ止まらないだろうからもっと他に作戦を練らないと……
→……やっと救けられるんだ
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神村さん(プロフ) - 面白かったです!! (2018年7月16日 16時) (レス) id: 4fd3c1de40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鬼童輪廻 | 作成日時:2018年6月13日 23時