第十六話 相澤消太 ページ39
「さえちゃん来たああああああああ！！」
叫び、私のことを正面から抱き締めたのは上鳴電気だった。耳郎響香のイヤホンジャックによって撃沈した彼を見下ろし、周りのクラスメイトに視線を向ける。
「心臓大丈夫やったん？！」
「ヤー」
「クソ長女！ 俺よりも先にヴィランぶっ飛ばしてんじゃねぇ！」
「ナイ、ビンタです。ぶっ飛ばしたのはエンデヴァーです」
「ビンタで１００メートルもぶっ飛ばしておいてナメたこと言ってんじゃねえぞクソが！」
「売られた喧嘩は買います、ゲボ。しかし倒す価値もなきクソボケ……困りました。しょっぴきますか？ 私を捕縛した男に捧げるタマであることを願いますが」
「韻踏むんじゃねぇカス！」
「爆豪くんも韻踏んどったやん！」
変わらない日常だと思われます。話題は私から緑谷出久、飯田天哉、轟焦凍へと移り、私は不意に――全員の会話に違和感を覚えた。
「メールとはなんですか」
轟焦凍もそうでしたが、何故みんな緑谷出久の位置情報を得ていたのでしょう。
「うぇっ？ あ、そうか！ さえちゃんだけ交換してないじゃん！ しよーぜ今！ フリフリ！ スマホ貸して〜、秒で終わらせてやっからさぁ！」
「や、ヤー？」
上鳴電気にスマホを奪われ、勝手に操作され、すぐに連絡先を登録された。私はそれをじっと見つめ、「初めてです」と言葉を漏らす。
「さえ、あんた初めてがこいつでいいの？！」
「正確には違います。弁護士の老人と相澤消太のなら持っています」
「相澤先生に負けた！？」
「負けたも何も、元から同じ土俵じゃないわ」
初めてなのは、同い年の人のという意味だ。私は上鳴電気の名を眺め、肩を叩かれて無言で振り向く。
「A、俺もいいか？」
「ヤー、轟焦凍」
「えぇーっ？！ 轟いつからAのこと名前で呼ぶようになったの？！」
「芦戸、こいつから名前呼びする許可を得ねぇと名前呼びできねぇんだぞ。お前、死ぬぞ」
「うっそだあ！ えっ、A！ 名前で呼んでいいよねぇ？！」
「ナイ」
「ない？！ ……拒否？！？！」
「あまり本名を連呼されると貴方は生命の危機に瀕します」
黒ずくめの組織に友達だと思われたら守り切れる自信がありません。だから、私が強いと判断した人間にしか呼ばせるべきではない。
誰かが口を開く前に相澤消太が入ってきた。皆秒で席についたが私だけ遅れる。
「座れ、寿限無如来」
「ヤー、相澤消太」
→寝癖が取れたようで何よりです
→寝坊したのに無遅刻は偉いです
→今日のお弁当を忘れてましたよ
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ｍ - 名前がｗ (2018年12月30日 15時) (
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年5月22日 15時
