【ＭＨＡ】最強の女だけど救けてほしい【ヒロアカ】 (ページ33)

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氷をイメージするページ33

私の氷をイメージし、ヴィランの羽部分を凍らせた。それはつまり墜落を意味し、私は緑谷出久を右手で抱き寄せながら氷の滑り台を作成し滑り下りる。

「じゅげみゅにょりゃいしゃん、凄い……！」

「私はスケート経験者です。これくらい御茶の子さいさいです」

　無駄に五回転をし地面に着地。ヴィランに手刀し離してもらう。爪は、左手の中指が死んでいた。

　剥がれた爪の痛みに耐え、私はさっと辺りを見回す。危険はない。今のところ。予知能力がないからわからないけれど――瞬間、ヒーロー殺しが目を覚まして私の左手をべろりと舐めた。

「？！？！？！？！」

　衝撃。そして刃。なるほど――。誰よりも彼の近くにいた私は心臓を奴にぶっすりと刺され、溢れ出す血の量に自分自身がドン引きする。

『左衛門三郎！！』

『寿限無如来くん！！』

『じゅげみゅにょりゃいしゃん！！』

　遠くの方から、なったばかりのクラスメイトたちの声が聞こえてきた。ヒーロー殺しのわけのわからない演説も、プロヒーローたちの息を呑む声も、ぼけーっとした今は本当に遠くの方から聞こえてくる。

　とりあえず私は、このまま死ぬ。けれど、今はそれよりも大事なことがある。

「不審者変質太郎は物間寧人のみで充分です！！！！！！！！」

　私は思いっきりヒーロー殺しにビンタした。気持ち悪い。手を他人に舐められたのは初めてです。

「左衛門三郎！！死ぬな…………死んで、ねぇ？」

「寿限無如来くん！！なんで刺されているのにヒーロー殺しを吹き飛ばすほどのビンタができるんだ！！いやそもそも血を舐められたのに何故動けるんだ？！」

「そうか！じゅげみゅにょりゃいしゃんはABO式血液型じゃないから……！！でも、Rhマイナスは……！！すぐに手当てしても輸血ができなかったら死んじゃうよ！！」

「ヤー。私はひとまずこのまま死にます。ヴィスィス、みんな」

　重たくなった瞼を閉じる。倒れかけたのを誰かが抱き止めてくれる。私はまた、誰かに救けられてしまった。
　このまま死ぬ人間を、抱き締めたってなんの意味もないのに。……生き返った時、礼を言わなければなりませんね。

→第十五話　轟焦凍