エンデヴァーは私の恩人です ページ29
もう一度、念を押すように私は言う。轟焦凍と轟炎司との間に何があるのかはわからない。けれど、彼がいるから今ここに私がいるのだとわかって欲しい。
「命を、救われました」
「…………」
無言で私に視線を移した轟焦凍は、ため息のような息を漏らして私の頭を一度撫でた。
轟焦凍、そう名前を呼ぼうとした瞬間に彼はスマホを取り出した。
そのまま画面を凝視して、私たちは私たちの動向に気づいたエンデヴァーに叱られる。私はエンデヴァーを見たけれど、轟焦凍はエンデヴァーに背中を向けた。
「焦凍！！」
なんらかの言葉をエンデヴァーに伝え、彼は何故か走ってどこかに行ってしまう。
行かないで、そう言おうとしたのに何者かの襲撃に私たちは遭った。
「ッ！」
咄嗟のことに爪が剥がれる。圧死――はしていないだろうけれど、私が出した空気の圧がとあるヴィランを潰していた。
「ぁ……！」
「寿限無如来！ そんな奴に構うな、市民を救助せよ！」
「や、ヤー！」
想像以上に自分が戸惑っているのがわかる。爪を三枚犠牲にして市民の周辺にバリアを張り、「避難してください！」とテレパスで叫んで爪をまた一枚犠牲にする。
「ぐっ！ あぁあああああああああっ！」
片足が死んだ。それだけはわかった。でも、守らないとエンデヴァーに迷惑が――！
「ッ！」
続けざまにヴィランを秒で縛り上げる。これは慣れているから爪は剥がれないけれど、気を抜くと拘束具が壊れやすくなってしまうのが難点だ。
(その前に気絶させなければ、私の負けです)
サーチをし、相手の急所をすべて暴く。股間以外の急所に強化させた蹴りをぶち込み、相手が悶絶する前に仕留める。一枚、二枚――。
バリアを張って足を強化。逃げ遅れた市民には逃走ルートを氷で作って避難させる。これで、両足は死んだ。
「ひっ、ぃぃあっああああああああああ……！」
立っていられなくなるほどの激痛。こんなに痛いのは久しぶりで、粗方片づいていることを死にものぐるいで確認する。
「轟、焦凍！」
追いかけなきゃ二度と会えない。私はすぐに彼の元へとテレポートした。
「わっ！」
空中。ぱたぱたと手足を動かして着地点を探す。
「じゅ、じゅげみゅにょりゃいしゃん？！」
「じゅげみゅにょらいくん！」
「左衛門三郎！」
そこには何故か、緑谷出久と飯田天哉がいた。爪は、左手の親指がべりべりと剥がれていた。
→第十四話 轟焦凍
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ｍ - 名前がｗ (2018年12月30日 15時) (
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年5月22日 15時
