【ＭＨＡ】最強の女だけど救けてほしい【ヒロアカ】 (ページ11)

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第八話　私の名は。ページ11

「それは肯定できます。しかし、彼の個性は私の希望でもあります。間近で見れて感動です」

「希望？ ……希望かどうかはわからないけど、かっちゃんの個性はすごいよね」

「別に貴方を褒めたわけではありません」

　なのに何故、自分が褒められたかのような表情で照れるのでしょう。

「そうだけど、かっちゃんって褒められることが滅多にないから自分のことのように嬉しくて」

「理解不能です」

　けれど、ゲボ以下のカスのような性格の人間にそこまでの親愛を示す彼は興味深い。

「……緑谷出久、救けてください」

　気づけば口が動いていた。

「えっ？」

「プルタブが開きません」

　缶コーヒーを差し出すと、緑谷出久は「あぁ！」と言って楽々と開けてくれた。

「感謝します」

　頭を下げ、缶コーヒーを受け取った私は他の女子の元へと戻った。

「あっ、ゴンザレスちゃん来た！」

「お待ちしておりましたわ、寿限無如来さん。こちらポンポンですの。是非お使いください」

「ヤー」

　八百万百から受け取ったポンポンを適当に浮かせ、缶コーヒーの中身を飲み干した私はそれを潰してゴミ箱に投げる。宙に浮いていたポンポンを手に取ると、「私とお揃いやなぁ」と麗日お茶子が破顔した。

「何がですか」

「個性！私、浮かすことができるんよ」

「そうですか。別にお揃いではありませんね」

「めった切りや……！」

　がびーんとなんとも情けない面を晒す麗日お茶子を眺めていると、「おー！女子着替えてんじゃん！」なんて言った上鳴電気と峰田実が近づいてきた。

「うほああああ〜！さえちゃん可愛いー！」

「さえちゃんとは誰ですか。私の名前は寿限無如来・ゴンザレス・阿修羅です」

「うへっ？でも、さえなんとかでもいいって言ってたじゃん？だからさえちゃんなんだけど……」

　両手の人差し指を立ててこてんと首を傾げた上鳴電気は、困惑気味に私の反応を伺っている。

「さえちゃん！何それちょー可愛いじゃん！」

「上鳴ちゃんにしてはいい発想ね」

「上鳴、あんた冴えてるじゃん！」

「うえっ？うえーい！それほどでもねぇけどよー！」

　調子に乗った上鳴電気は、女子に褒められてニヤニヤしている。私は、まだ何も言っていないのに。

「寿限無如来、お前まさか照れてんのか？！」

　私のことをずっと見上げていた峰田実が、ぎょっと目を見開いた。