第二話 ページ2
「ぎゃああああ〜〜！！！！！！！！」
「ふぇっ？ タイガくん？！」
「てててててめぇ！ Aさんに何しやがあっちが、Aさん！ 俺は何も見てねぇっす！ あっその……シンてめぇ！！」
「ちちちち違うよタイガくん！ 誤解だよ！ 僕も何もしてないし何も見てないよ！」
「誤解なわけあるかぁ！ Aさん！ こっちです！ さぁ早く！」
シンもタイガも腕で目を覆いながらあわあわとしているせいか、逆に冷静になってしまう。一応隠しながらタイガの真横を通り過ぎ、バスタオルを巻いて外に出た。
「ミナトー！」
「ん？ どうしたらしょうも…………羅生門？！ なんでそんな格好のまま出てきたんだ！ 早く服を……」
「シンとタイガを回収して」
「えっ？ 一条と香賀美を？」
その後ミナトに回収されたシンとタイガはミナトに散々説教され、二人して顔を真っ赤にしながら他の面子からも色々と言われていた。
「で？ どうだったのタイガきゅん。ねぇねぇ。俺っち詳しく聞きたいなぁ」
「その辺にしておけ。また鼻血が出てくるぞ」
「もう出てるだろ……。ミナトー、ティッシュー！」
「も〜！ シンくん！ タイガくん！ 二人ともちゃんと反省してください！」
端の方でそれを見ていた私は、不意に仕事があることを思い出して体を回転させる。すると、背後に立っていたコウジと目が合った。
「災難だったね、Aちゃん。大丈夫？」
「ッ！ べ、別に……」
声が上ずる。思わず胸元に腕を持ってきて、それを見たコウジは軽く私の手を引いた。
食堂から離れてエントランスに行くと、昔からの知り合いだからかやけに子供扱いするような声で彼はこう言った。
「だからここに住むのはやめた方がいいって言ったでしょ」
「でも、私にはここでやるべきことがあるから……」
「ここでってどこ？ エーデルローズ？ プリズムショーに関わる仕事がしたいだけなら、べるちゃんたちと一緒に独立した方が……」
「それだけが理由だなんて思わないで……！ 私にはエーデルローズに育ててもらった恩があるし、コウジたちがここにいるから私はここにいるんだよ……！？」
私は、エーデルローズにいながら一度も公式戦に出たことがなかった。チーム戦は一人だとできないから、天羽ジュネのように個人戦のみで戦えって仁にそう言われ続けていた。
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年5月18日 15時
