私はカヅキの可愛い後輩 ページ48
「なっ？！ わ、私だってカヅキ先輩の可愛い後輩なんだから！」
「私だってそうだにゃ！ この泥棒猫〜！」
だから安心してって言おうとしたのに、失敗した。目でカヅキに助けを求めると、「三人とも俺の可愛い後輩だ！」と言って火に油を注ぐ。
「「カヅキ先輩〜〜！！！！」」
「えぇっ？！ ちょっ、悪かったって！！」
本当に悪いと思っているのだろうか。私は三人の追いかけっこを眺め、あの中に混ざりたいと少しでも思って首を左右に振る。
ダメ。私があの中に入ってもカヅキの迷惑になるだけだ。そう思って手を引いた。
「Aさん？ 大丈夫っすか？」
「タイガ……」
側に来てくれたのはタイガだけ。そう思ったらカズオまで来て私の肩を組んだ。
「タイガきゅん、抜け駆けはダメだよん？」
「は？！ バッ、そんなんじゃねぇーし！」
「そう？ じゃあ俺っちが貰っちゃおうかにゃ〜」
「ふざけんな！！ 誰がテメェなんかにAさんを渡すかよ！！」
いつの間にそうなったんだろう。あんとわかながバチバチさせている横でタイガとカズオもバチバチさせている。
「…………？」
「……ぜぇ、はぁ、つ、疲れた……」
「お疲れ」
「な、なんか、そっちも大変そうだな」
「よくわかんないけど喧嘩してる」
「あ〜……なんで全員仲良くできないんだ〜……？」
「そうだね」
「もうこれ羅生門とカヅキが結婚した方が丸く収まるんじゃないか〜？」
振り返ると、山田がいた。
「「え？」」
「「は？」」
「「なんで結婚」なんですか」
「え、俺なんか不味いこと言った？」
不味いことかは知らないけれど、あんとわかな、タイガとカズオの矛先が一斉に山田に向く。
そうしてまた不毛な追いかけっこが始まり、私はカヅキと目を合わせて首を傾げ合った。
END
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年8月5日 0時
