落ち着いて ページ34
「こんなの落ち着いてられねぇっすよ！！！！」
叫び、タイガは苦しそうに喘いで床を殴る。そして言葉にならない声を上げ、血のような涙を流して拳を握り締める。
「いや、でも、どこの野郎かもわからねぇ奴じゃなくてカヅキさんだったら……俺は……カヅキさんと……Aさんだったら……俺は、ぁ、あぁ…………やでもチャラチャラすんのは二人らしくないっす！！！！」
たっぷりと時間をかけて訳のわからないことを言い、勝手に苦しんで泣きじゃくるタイガを私はどうすることもできなかった。
「A！！」
「カヅキ！」
「カヅキさん？！？！」
「仁科カヅキィ！！！！ 伝説の女ァ！！！！」
「わ、わりぃ！ また俺のせいでお前にすげぇ迷惑が……」
「そんなことない。これは私の不注意のせい」
「二人のせいじゃねぇっすよ！！！！ こんなクソみてぇな記事書いた奴が悪ぃんだ！！！！」
「テメェら！！！！ 何チャラついた噂垂れ流してんだ！！！！ 俺が地獄に落としてやる！！！！」
『……なんだあの突っ込み不在のカオスな空間は』
『にゃはは〜……、さすがの俺っちもあの空間には入りたくない』
『ストリート系にしかわからぬこともあるのだろう』
『ユキ様の言う通りですよ？ ユウくん』
『大丈夫かなぁ、羅生門』
『みなさん強そうなオーラが滲み出ていてかっこいいですね〜！』
終わらない争いがいつまでも続く。埒が明かないとキレだしたストリートのガングロ男にプリズムバトルを挑まれて、何故か四人で『EZ DO DANCE』を踊ることになって、勝敗がまったくつかないまま四人で地べたに寝転ぶ。
息を整え、タイガとアレクサンダーと名乗る男の誤解を解くのにそれから十時間もかかってしまった。
→第五話
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年8月5日 0時
