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だからヒロは嫌いなの ページ32
「みんな、グッドモーニング！」
急に食堂に現れたヒロを見上げ、私は盛大にため息をつく。
「A？ どうしたの、今日も浮かない顔してるね」
「ヒロのせいなんだけど」
ずっとヒロのせいだ。それ以外の理由がまったく見当たらない……っていうのは言い過ぎだけど、誕生日だって必死に考えてるのにヒロはそんなことを知る由もない。
「僕の？」
「これ知ってるんでしょ」
「もちろん。それがどうしたの？」
「……死ね」
どストレートに言ってしまったが後悔はない。雑誌を持ってきたユウと食堂にいたユキがびっくりしているけれど、そんなこと考えている余裕もない。
「…………」
私は外に出て空気を吸い込んだ。
「A！」
「追いかけて来ないで」
いつになく必死な声色だったけれど、ヒロに構っている気力がない。
「ごめん、あの記事のことなら気にしなくていいから」
「別に気にしてない」
「じゃあなんで」
「また撮られる」
ヒロの足が止まった。私の言う通りでしょ？ だって、あの木の影に誰かいるんだから。
振り返ってヒロを見つめる。ヒロは苦しそうに顔を歪め、目を見開いた。
「A！」
「えっ？ あぅっ……！」
瞬間誰かに背中を刺された。
『…………これで、いいんだよね』
その声は、中性的な声だった。
END
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年8月5日 0時
