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第五話 √β ページ9
アレクとバトルをして、一週間が経っても足の痛みは引かなかった。私は息を吐き、食堂にいたタイガに声をかける。
「タイガ。来て」
「ッ！？ Aさん！？ な、なんすかそんな改まって……」
「いいから」
有無を言わせない圧力をかけると、タイガは背筋を伸ばして駆け寄ってきた。
「行きます！ ついて行きます！ 地獄までですね！ 任せてください！」
「え……？」
タイガは何を言っているんだろう。
妙にやる気を出している彼と共に来た場所は、ストリート系の選手がよく訪れる無法地帯の店だった。けれど、タイガが私の隣を歩いているわけもなく遠くの方でモタモタしている。
「あぁん？ なんだこのガキ」
「ここはガキが来る場所じゃねぇぞ」
「ッ！？」
いつの間にか囲まれていた。慌てて視線を巡らせるが、身長差があり過ぎて顔が見にくい。
「ガキじゃな……」
「邪魔だ。どけ」
反論しようとした刹那、大きな影が私を覆った。よくよく見ると彼はアレクで、私の顔を見た瞬間「てめぇ！ 伝説の女じゃねぇか！」と大声を出す。
「何っ？！ あの仁科カヅキの女か！」
「嘘だろ！ あの仁科カヅキの女がなんで！」
「……そのすべての呼び名を地獄に落としたい」
この一言がきっかけとなって、私の周りにいた連中は一目散に逃げていった。
「Aさん！ 大丈夫ですか？！ すんません、俺、駆けつけるのが遅くなって……！」
その隙に駆けつけてきたタイガは、本気で心配そうな顔をしていて。
→……側にいて
→……ばぁか
→ところでアレクは？
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年5月31日 20時
