【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい√ユキノジョウ (ページ45)

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第十二話　√β ページ45

「六連続！この想いだけは……絶対に終わらせない！羽ばたけ！！常世と現世のミルキーウェイ！！」

『きゃあああああ！！！！』

　一回り成長した翼で私は飛び立った。地獄と現世を繋ぐ天の川を上り続け、私という存在はこの地へ下り立つ。

「七連続！貴方の隣で私は歌う！羅生門！！天女の愛想曲！！」

　羅生門に座った私は、羅生門を見上げる少年――いや、観客たちに愛を歌う。夕べに恋人の側で歌うこの時間が幸福で、それだけじゃ満足できなくなって私は飛んだ。

『来たぁぁぁぁ！ Aさんの代名詞八連続ジャンプ！！』

『A……！お前は……なんて眩しいんだ！』

『Aさぁぁぁぁん！綺麗ですよー！』

『Aちゃぁぁぁぁん！貢がせて〜！』

『羅生門が……笑ってる……！』

『Aちゃ〜ん！可愛いですよ〜！』

『クソッ、認めちまうだろ！蓮城寺べるよりも羅生門Aの方が強いって！』

『チッ！あの女……ストリートを捨てやがった！』

「八連続！！」

　みんなが私を待っている。早く下りて、一番近いところでユキのように美しく舞うことができたら――

「あぁっ？！」

　刹那、生えていた翼が呆気なく壊れた。私は高所から重力に従って落下していく。
　反応なんて、できなかった。ぐしゃっと歪な音を立てて、何かが壊れたことがわかった。広がっていくユキの髪色が美しくて、ねっとりとした温かさが心地よくて目を閉ざす。

「Aッ！ Aーーーー！！」

　ユキの声が大きくなる。梨園の息子。女形の人なのに、どうしてそんなに大きな音を立てて走っているの……？

「A！しっかりしろ！目を開けてくれ！」

　その言葉を聞いてようやく悟った。私は、死ぬかもしれないのだと。

「ゆ、き……」

　不思議と嫌だとは思わなかった。ずっとずっと死にたかったのだから、それでもう構わないと。けど、少しだけ心残りがあるとするなら――八連続ジャンプを飛べなかったことだ。

『永遠恋路不死鳥の演舞』

　あれは、ユキへ告白する為のジャンプ。もう飛べないのだとしたら、私は何でこの想いを告げたらいい？

「……あ、い……して……」

　この言葉だけじゃ私の気持ちは伝わらないのに。

「……る」

　なのに、私は最後まで言いたいと思った。

「う、わ……ぁ…………あ……うわああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！」

→最終話　アゲハ蝶、夢舞い恋しぐれ:α