【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい√ユキノジョウ (ページ43)

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まだ、エーデルローズ生だからページ43

「……そうでしょ？ユキ」

「……あぁ。Aは俺たちの仲間だ」

　確かめるように言葉を紡ぐと、ユキは力強く肯定した。

「……やっと、Aのショーが見れるんだな」

　掠れた声でユキが言った。

「見せてくれ」

　その瞳には涙が浮かんでいた。

「……うん」

　だから私も、しっかりと頷いた。

『なんとここで、スペシャルゲストの登場です！速水ヒロ選手の優勝を祝う為に駆けつけてきてくれたのは――羅生門A選手です！』

『えっ？！嘘！あの子ってカヅキとバトルしてた子じゃない？！』

『ほんとだ！プリズムショーするのかな？！』

『なっ、Aさん？！ Aさんのプリズムショーが生で見れるなんて……ヤベェ……ヤベェよぉ！』

『What?! あの女……ストリートの伝説の女じゃねぇか！』

　私は――飛ぶ！

　その意識と共に『inferno』のイントロが流れ出した。花道にいるオバレのみんなは驚いた顔で私を見ていて、私は思わず笑みを零す。

　コウジ。この曲を作ってくれてありがとう。
　カヅキ。あの時バトルをしてくれてありがとう。
　ヒロ。ずっと一緒にいてくれてありがとう。

　そして、ユキ。背中を押してくれてありがとう。

「ハァッ！ヘブンスプラーッシュ！」

「！！」

「二連続！ヘブンズ・ゲート天使の鎮魂歌！」

　ヘブンズ・ゲートが開き、中から大勢の天使が飛び出す。赤子の彼らが歌う歌は、死者――観客の心を安らかにさせるものだ。

「三連続！傷ついた天使は堕天する！！煉獄の炎ファイアーインフェルノ！！」

　その赤子の天使たちが一気に堕天していく様を地獄の門から眺めながら、私は会場を炎で燃やし尽くす。

「四連続！」

『来たッ！ Aさん！俺を地獄に落としてくれぇぇぇぇ！』

「貴方と共に地の果てへ！地獄心中！無限ハグ！！」

　私は地獄の門から滑り落ち、門の中へと吸い込まれていった。堕天使も、観客も、相手を選ばずに地獄へと引きずり落として最深部でハグをする。

「五連続！」

『あれは……『羅生門鬼切演舞』じゃない？！』

「枯れていた心がときめいていく……！雛鳥の愛！夢恋時雨！」

　地獄に小雨が降ってくる。私は小さな翼を広げ、高い高い位置にある地獄の門を一人で見上げた。

→第十二話　√α