【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい√ユキノジョウ (ページ22)

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第七話ページ22

「いやー、にしてもテレビの効果ってすげぇな」

　他人事っぽいカヅキを睨むと、「わ、悪ぃ」と謝られる。私はため息をついて寮を囲む人々を眺めた。

「来るなら金落とせ」

「A、まーた口が悪くなってるよ」

「ヒロとカヅキしか聞いてないからいいもん」

「お前、俺たちの前だと妙に甘えたがりだなぁ」

　先輩なんだから当たり前でしょ。唇を尖らせて門前を見ていると、彼らの間を掻き分けるユキとレオが視界に入る。二人は困ったような表情で、私たちがいる窓の方を見るとほっと息を吐く。けれど、ユキはすぐに表情を曇らせた。

「おかえり」

　食堂に入ってくる二人に声をかけると、ちゃんと言葉は帰ってくる。私の思い違いかと思って、けれど不安になってユキのことを連れ出した。

「大丈夫？」

　二人で階段を上がりながら尋ねると、ユキは不思議そうな表情で「何がだ？」と返す。

「何がって、最近時々変になるから」

　心当たりがないのかそれでもなおぽかんとするユキに、私は今まで感じていた違和感を伝える。

「『男だとか女だとかどうでもよくない？』って言った時、微妙そうな表情するし……さっきもちょっと変だったし」

　開けっ放しの窓から外を眺めると、人々が引いていくのが見えた。このままもう二度と来なければいいのに。そう思ってユキの方へと体を向ける。
　ユキは、やっぱりぽかんとしていた。何も気づいていなかったのかと思って、私は床に落ちていた紙に気づく。

「誰かの落とし物か？」

「手紙みたい。私に来て欲しい場所があるって」

　なんでこんなところに落ちてるんだろう。寮生なら直接言えばいいのに。

「行かないでくれ」

　顔を上げると、何故かユキは真剣そうな表情だった。

→どうして？
→私は行きたい
→今のユキも変だよ