【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい√ユキノジョウ (ページ17)

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第五話ページ17

「A、聞いたよ？昨日ユキノジョウとずぶ濡れになりながら帰ってきたんだって？」

「ずぶ濡れじゃない。傘は一応差してた」

「まぁ、あんな天気だもんねぇ。そんなになるまでどこに行ってたの？」

「ヒロには関係ないでしょ」

　コウジにつき纏っていた頃のようなウザさで朝食をとる私に声をかけてきたヒロは、「そうかなぁ」とわざとらしく言って頬杖をつく。

「俺とAの仲じゃない。ね？ちょっとくらい教えてよ」

　囁きながら言うところに腹が立って、私は口をへの字にした。

「どんな仲でも絶対に言わないから」

「ケチだなぁ。昔はベラベラ喋ってくれたのに」

「お互いにエーデルローズに縛られていた時の話でしょ」

「今はもう違うって言いたいの？俺はただ、もうコウジのことが好きじゃないのか聞こうと思ってたんだけど」

　予想外の台詞に驚いて、思わず持っていたスプーンを落とした。慌てて辺りに視線を巡らせて、その場にいた全員が私の方を見ていることに気づく。

「ばっ……！」

　恥ずかしくなって顔が熱くなった。ヒロには知られているって知ってたけど、みんなには知られたくなかったのに。

「コウジなんかもう好きじゃない！あっちが……元々好きなんかじゃないんだから！」

　言ってしまった後になって気づく。これじゃあ「好き」って言っているようなものじゃないか。

「死ねぇ！」

　今まで吐いたことのない言葉を吐いて、私は寮を飛び出した。恥ずかしくて死にたくなる。なのにヒロの言葉を思い出して考えてしまう。

　私は、もうコウジのことが好きじゃない？

　そんなバカな。ずっとずっと好きだったのに。走り出した足は止まらず、気づけばプリズムストーンの近所を走っていた。