【KING OF PRISM】伝説の女だけど放っておいてほしい√ユキノジョウ (ページ1)

今日:14 hit、昨日:3 hit、合計:23,375 hit

第一話ページ1

「A、今帰りか」

「ユキ」

　駆け寄ると、稽古帰りのユキが軽く微笑んだ。そうして街灯に照らされた私を見て、軽く眉間にしわを寄せる。

「どうした？汚れているぞ」

「ちょっと寝ちゃって」

「寝ていた？外でか？」

　驚くユキを前にして頷くと、ユキはわざとらしくため息をついた。

「A。お前はもう少し女性だという自覚を持て」

「どうして？」

「どうしてって……Aは女性だろう」

「男だとか女だとかどうでもよくない？」

　言い方が悪かったのか、ユキは少しだけ唇を引く。私はそれに気づいていたけれど、ユキは気づかれていないとでも思っていたのか正面を向いた。

「ユキ？」

「なんだ？」

「なんでちょっと微妙そうな顔をするの？」

「？！そ、そんな顔はしていない」

　言葉ではなんとでも言えるけれど、ユキの声は確実に戸惑っていた。どうして私には隠すのかと思って、ユキの着物の袖を掴む。

「！」

「なんで？」

「それは……さっきも言っただろう。Aが女性だからだ」

「……？それ、答えになってなくない？」

　ユキの言う言葉は正直よくわからなかった。ユキはふいと顔を逸らし、ゆっくりと歩を進める。ユキ自身の歩幅は大きくても、着物を着ているからか私と大差ない歩幅だった。
　ユキの袖を掴んでいる私はそれに躓くこともなく、離すとユキがわずかに振り向いた。けれど何も言わなかった。

＊

「ユキ様、Aちゃん、おかえりなさい！」

「ただいま、レオ」

「レオ、ただいま」

「二人が一緒だなんて珍しいですね〜！」

　そういえば、ヒロもレオと同じことを言っていた気がする。私は珍しいとは思わないし、ユキもそう思ったのか「そうか？」と不思議そうに首を傾げた。

「そうですよ！」

　レオはユキとしょっちゅう一緒にいるからか、自分がいない時ユキが何をしているかなんてわからないのだろう。

「……たまたま帰りの時間が合ったのは今日が初めてだけど、そんなに珍しくはないでしょ」

「へぇ〜。Aさんとユキノジョウさんって仲が良いんですね！」

　階段から下りてきたシンは笑っているけれど、仲が良いと言い切れるのかどうかはわからなかった。同い年だし、友達だとは思っているけど……ユキはどう思っているのだろう。

「……？逆に何故仲が悪いと思ったのだ……？」

　すると、ユキは天然を炸裂させて私のモヤモヤを消し去った。

→知らない
→ユキとは仲良し
→笑ってないから？