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「嬉しいけど...俺、もうちょっとで掴めそうなんだ」
「じゃあ待ってる」
「っだから!先帰れって言ってんの、なんで待つんだよ」
思わず声が大きくなる。
いつもならすぐ引いてくれるのに、今日はなかなか諦めが悪い。
「Aは、なんでそんな焦ってんの」
「...焦ってないよ、俺はただ当たり前のことやってるだけ」
「飯も、睡眠も、何もかもが足りてない状況で練習するのが当たり前だって?そんな訳があってたまるか!!」
急に声を荒らげるチャンビナ。
俺は、なにか彼の気に触る事をしてしまっただろうか。
呆気にとられて、体が硬直してしまう。
「あ、ちが、俺はただ...Aに、休んで欲しくて」
「...ごめん、チャンビナ、俺今は休めないんだ、休んじゃいけないんだよ」
「チャニヒョンだって心配してる、ハンも、イエナだって!みんな、お前のことが心配なんだよ...」
しんぱい、心配だって?なぜ?
ご飯も睡眠もろくにとらないから?
でも、それはチャニヒョンや、それこそ目の前にいるチャンビナも同じなはずで、特別心配をかけることじゃないはず。
「なんで...心配なの?俺よりもみんなの方が頑張ってんじゃん、俺なんて、」
「もう1回、目の前の鏡で自分の顔見てみろよ、それでも同じこと言えるのか?」
目の前に広がる鏡に目を向ける。
前よりも、幾分か痩せただろうか、目の下にはくっきりと隈がある。唇もガサガサで、目は少し、虚ろかもしれない。
「健康体には見えない、かも?」
「かも、じゃなくて見えない、絶対に」
思わず笑いが溢れる。今思えば、忙しくしていたせいでメンバーとも中々話せていなかった気がする。なんだか、チャンビナと話して少し思考が纏まってきた。
「...ね、チャンビナぁ、俺ってスキズらしくない、かな」
「...なんだそれ、スキズらしさ、って」
不意に、聞きたくなった。
同い年の彼は、甘やかすでもなく自分の意見をぶつけてくれるから。包み隠さず己の悩みを打ち明ける。『スキズらしく』ないと言われたこと、なんだか空回ってしまうこと、どれだけ頑張っても、なにも上手くいかないこと。
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時雨(プロフ) - あんずさん» 初コメ、リクエストありがとうございます!承知いたしました!しばしお時間かかってしまうと思いますがお任せください〜! (2月27日 15時) (レス) id: 121b5caafd (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 初コメ失礼します!いつも楽しく拝読させて頂いています( *´꒳`* )リクエストなのですが、リノから見た主くんのお話がみたいです! (2月27日 0時) (レス) id: 0010bffdfc (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - わわ、本当ですね...修正しました。教えてくださりありがとうございます! (2月10日 20時) (レス) id: 121b5caafd (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - ミヤネ より ミアネ かなと... (2月10日 20時) (レス) @page7 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2024年2月10日 1時