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『何か』に気づけないまま ページ37

中也side


何かがおかしい。
その『何か』はもう何時間も俺の中に存在してる。
幾ら考えてもその答えは分からないままだ。

優香「中也さん、どうかされました?」

中也「え、いや、何でもないですよ」

特別部屋に変化があった訳でもないし、体調が悪いわけでもない。
何時もは感じない何か。
普段あってないモノなのか、普段なくてあるモノなのか。

まさかAに何か……?
否、そんなはずない。
俺と一緒に数時間前帰って来てる。
でも他に思い当たる事もない。

中也「……すみません。ちょっと外しますね」

優香「ええ、構いませんわ」

何時もより長く感じる廊下を進み突き当りの部屋の前で止まる。
居るはず。居るに決まってる。
Aが一人で此処を出たことはない。
だからここに居ないなんてことはあるはずがない。
でも別に一人で此処を出れない理由もない。
内側から特別な施錠をしてる訳でもないし、出るなと言ってる訳でもない。

恐る恐る扉を開ける。

中也「A」

返事がない。
まさかと思い部屋に入ると、Aはベッドに寄り掛かって寝ていた。
正直焦った。
普段俺の声が聞こえたら返事は必ずするから。
だから本当に居ないのかと思った。

中也「驚かせんじゃねぇよ」

深く息を吐いて彼女の頬に触れる。
それに気づいて目を開けると小さく俺の名前を呟いた。

貴方「何かあった……?」

中也「いや、何でもねぇよ」

貴方「そう。此処にいて大丈夫なの?」

それはきっと優香さんの側にいなくていいのかという意味だ。
ずっと一緒にいると変に気を張る。
だから凄く疲れる。

中也「大丈夫だ。断って来てるし、それにずっと近くにいると疲れる」

貴方「あの人、お嬢さんだから堅苦しいもんね」

中也「お前が居てくれると緩和されんだけどな」

貴方「……あの人と同じ部屋にいるのは嫌。息が詰まりそうになるから」

ごめんね、と目を逸らすA。
何も謝る必要なんてないのに。

中也「わかってる。ただ居てくれたらこんなに疲れる事も無いと思っただけだ」

頭を撫でてやるとまた何時もみたいに嬉しそうに笑う。
やっぱり俺は此奴が好きだ。
社長令嬢が何だ。
俺にはAがいる。
領主には悪いがあの人には早く此処からいなくなってもらおう。
その為にはどうすれば……。

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紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…!続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます!できれば続編お願いします!! (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます!もう少し検討させてもらいますね…! (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…!何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します!! (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月2日 16時

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