五十九言目 ページ14
次の日、中也と一緒に彼の執務室に向かっていた。
そう、正式に今日から彼の補佐だから。
貴方「でも、補佐って具体的に何するんだろう」
中也「そりゃ俺の手伝いだろ。秘書は雑用と予定管理だからな」
貴方「なるほど」
中也「まァ、手前は前もやってたし心配ねェな」
貴方「言われれば雑用もするよ。前は散々やらされてたし。何時か分身できるようになるんじゃないかって位忙しかった」
中也「そんな風に扱わねェよ。俺はあの糞鯖とは違う」
貴方「わかってるよ」
ドアノブに手を掛けて彼は小さくあ、と呟いた。
その声に首を傾げると彼は私の方を見て口を開いた。
中也「敬語じゃなくて良い。何時も通りにして呉れ」
貴方「でも中也は幹部様じゃない」
中也「無駄に気使うンだよ。手前に敬語使われると」
貴方「あんまり公私混同しない様にしようと思って」
中也「幹部だからとかそんな気遣い要らねェぞ」
貴方「でも、中也にも周りの目があるでしょ?マフィアの幹部様が人間関係緩い人に見られたくないもん」
中也「なら幹部命令。外部に出る時以外は敬語やめて何時も通りにしろ」
どれだけ私に皆と同じ態度取られるの嫌なんだろう。
まぁ幹部命令なら従うしかないか。
自然と溜息が出る。
貴方「わかったよ」
彼は嬉しそうに笑うと私の頭を撫でて扉を開けた。
偶に来ていたから別に新鮮さとかはないけど、今日から此処で仕事をするとなるとちょっと緊張する。
高そうなソファーとテーブル。彼が使っている大きな机。
あと、部屋の端に置かれた小さめの机。
これは私が前にいた部屋から持ってきた物だ。
昔から使っているから小さい。けどこの大きさで十分なのだ。
それに、これには全てが詰まっている。
私が初めて太宰の秘書兼補佐をした時に与えられた机。場所も同じ。部屋の端。彼を思い出す事。それは中也と仕事をするなら多少必要になる事だ。
最年少幹部、私の隣にいた男。一番近くで見てきた。その作戦も、作戦の立て方も、どういう思考回路で組み立てていたかも、人の動かし方も、どう思って生きていたかも。
中也「どうした、ぼーっとして」
貴方「ちょっと思い出してただけ」
中也「思い出す?何をだ?」
貴方「中也が死ぬ程嫌いな奴の事」
中也「はァ?あんな奴思い出すンじゃねェよ」
貴方「そうもいかないよ。記憶の中にあるだけなら私の一部なんだから」
この前みたいに表に出て来るのは勘弁してほしいけど、私の中で生きてる分には寧ろ心地良い。
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鶴媛(プロフ) - 紅野さん» わぁ!ありがとうございます!!お忙しいのに私の勘違いですみません!更新嬉しかったです、暑い日が続きますがどうかお体に気をつけてお過ごし下さい。 (2020年8月18日 1時) (レス) id: dda77e3f70 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます。いえいえ!忙しくて更新が止まってしまっただけです!また空いてる時間で更新するのでご安心を…! (2020年8月18日 0時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - え、八十五話で終わりなんですか?かなり気になるところで終わってしまって少し残念に思います (2020年8月17日 4時) (レス) id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 橘明音さん» ありがとうございます。そう思ってもらえて良かったです。ゆっくりですが頑張りますね。 (2020年3月2日 11時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
橘明音(プロフ) - 最後のコメントありがとうございます。 私は受験終わったけど学校なくて本当に暇だったのでそう言って書いてくださること、本当に嬉しいです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2019年2月6日 15時