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欲しい物 ページ6

探偵社を出てふと与謝野女医が僕を見た。

貴方「何ですか?」

与謝野「いや、吸血鬼でも日光は何ともないんだと思ってね」

貴方「何ともないですよ。ただ普通の吸血鬼ならまだ寝てますけど」

与謝野「吸血鬼と言っても思った以上に人そっくりじゃないか。これなら街中に居ても見分けがつかないのも頷ける」

貴方「そっくりなだけです。僕は化物ですから」

なんて言うだろう。
そうだ、って言われるかな。太宰さんみたいに怒るかな。
口癖の様に出た言葉は長い時を経て僕に根付いたものだ。

与謝野「……いいや。探偵社にいる社員はあんたとそう変わらないさ。異能持ちだからね」

貴方「あの、異能って結局どんなものなんですか?僕、よくわからなくて」

言葉でしかわからない。
実物を見てみたい。かもしれない。

与謝野「何だい。見たことないのかい?」

貴方「だって、太宰さんのは無効化だから無効出来る異能がないと見れないんです。だから見た事ないんです」

与謝野「そうだったのかい。まぁ、探偵社にいれば嫌でも見る様になるさ」

貴方「でも、与謝野女医、僕は皆さんとは違います。人を救う事なんて出来ないんですから。人を傷つけるだけ。それしか出来ないんです」

言えば言う程思う。僕ってこんなに自分の事嫌いなんだって。嫌いじゃなくても僕という存在が嫌なんだって。

与謝野「そんな事ない。悪い所ばっかり見るんじゃないよ。偶には自分の良い所も見つけてやんな」

貴方「……ないですよ。良い所なんて」

与謝野「気づいてないだけさ。太宰はよく知ってるよ。アンタの良い所」

太宰さんが?
まだ心の何処かで信用しきれていない。
でも信じたい。
どうしたら本当に、何の疑いもなく信じられる様になるんだろう。

貴方「太宰さんは確かに僕の事好きでいてくれるけど、哀れんでくれてるだけなんじゃないかってたまに思うんです」

与謝野「A、哀れに思うだけで彼処まで人に執着出来ると思うかい?太宰の好きは本当の愛から来るものだよ。信じてやんな」

わからない。太宰さんの事。
やっぱり太宰さん自身を知れなきゃ太宰さんが僕をどう思ってるかなんてわからない。
太宰さんを知ろう。
教えてもらおう。
どんな人なのか。
何をしてきたのか。
何が好きで、何が嫌いか。
どうしてあの日僕を助けてくれたのか。
ちゃんと聞こう。本当の事を知りたい。

貴方「与謝野女医、僕欲しい物が見つかったよ」

与謝野「良かったじゃないか」

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設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時

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