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指輪の話 ページ45

太宰さんが仕事で国木田さんや敦さんと外に行っている間、僕は与謝野女医の手伝いをしている事が多い。
買い出しとか、備品整理とか。
そんな時つい首から下がる指輪を弄ってしまう。
彼が恋しい。こんな少しの時間でも。

与謝野「太宰ならすぐ帰って来るさ」

貴方「あ、いや、良いんです。仕事ですし」

与謝野「寂しい?」

貴方「……少し。話さなくても視界にはいる事がほぼ常だったので」

与謝野「そういや其れ、ペアじゃないのかい?」

其れと指された掌の上の指輪。
太宰さんと一緒に買ったのだから勿論もう一つ同じ物がある。

貴方「太宰さん大切だからって内ポケットに入れてるんです」

与謝野「大切なら身につけておくべきだろう」

貴方「入水した時に首とか指から抜け落ちるの怖いらしくて」

与謝野「ならそんな事しなきゃ良いだけだと思うんだけどねェ」

貴方「しょうがないですよ」

僕が苦笑して返すと与謝野女医も同じ様に苦笑した。
がちゃんと扉が開いた音が響いて振り返ると帰って来たらしい太宰さんがいた。

太宰「ただいまー」

貴方「お帰りなさい!」

彼の腕に飛び込めば何時も通り撫でてくれる。

太宰「うふふ、寂しかったの?」

貴方「だって何時も一緒にいるから」

与謝野「太宰、勿体無いよ」

太宰「何の事です?」

僕が此れ、と見せれば彼は納得した様にあぁ、と溢して内ポケットから僕のと同じ様にチェーンのついた自分のを取り出した。
普段は見る事のない彼の指輪。同じ物なのに大きい。

太宰「だって無くしたくないし、まだ指にするものじゃないし」

与謝野「じゃあ何でもう結婚指輪なんて買ったんだい」

太宰「現物があった方がその為に頑張ろうと思えるでしょう?それにそういう目で見える繋がりがあればAも不安にならないだろうし、あと一番大きいのは魔除けですね」

与謝野「魔除け?」

太宰「可愛いから知らない男がすぐ寄って来るんですよ。耐えられないじゃないですか」

少しむすっとして答える姿に僕は嬉しくなる。
太宰さん嫉妬したら面倒くさいけど、普段あまりしてくれないから。

与謝野「なるほどねェ」

頷く与謝野女医を見てふと、怖くて入水出来ないならそれでいいじゃないと思う。

貴方「太宰さん、座って」

何?と言いつつも大人しく座った太宰さんの手からチェーンを取って彼の首につける。

貴方「ほら、お揃い」

太宰「敵わないなぁ」

なんて言いながらも嬉しそうに笑ってくれる。
何時か指にお揃いしようね。

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設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時

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