誰かの何か ページ41
また前みたいな日々が始まった。
目が覚めたら彼がいて、一緒に探偵社に行って、夕飯を作って、一緒にだらだらして、一緒に寝て…。
数日を過ごした頃、突然社長に呼び出された。
太宰さんも一緒に。
太宰「ほら、入って」
貴方「う、うん…」
太宰さんが開けた扉の先には大きいとはいえないけれど落ち着いた部屋があった。
恐る恐る入ると社長と目があった。
何度会っても少し怖い…。
福沢「…座りなさい」
指されたソファーに太宰さんと並んで座ると、向かいに社長も座った。
そんなに畏まった話…？
チラッと太宰さんを見ると少し目を細めて微笑んだ。
大丈夫だよって時の顔だ。
福沢「変わりないか」
太宰「彼女ですか？見ての通りです。多少街で声をかけられる事はあっても前の様に連れ去られたりは無くなりました」
貴方「太宰さんが居てくれるので…」
福沢「そうか。社員とはどうだ。上手くやれているか」
貴方「はい。皆さん優しいですから」
福沢「それは何よりだ。…本題に入るが、太宰が許すのであればバイトとして社で働いてみないか」
太宰「Aをバイトに？」
貴方「僕が…？」
働けって…？
どうして突然…？
福沢「普段から谷崎妹と同じ働きをしていると国木田から聞いている」
太宰「私はAがやると言うのなら止めないけれど…」
貴方「…でも朝弱いし、血足りなくなってくるとふらふらするし」
福沢「その点は心配するな。そういう体質なのは全員が知っている。負担にならぬ程度で構わん」
太宰「ですが何故突然そんな話を？」
福沢「無償で働いて貰う訳にはいかん。それにここに居れば太宰が居なくとも安全だろう」
太宰「なるほど。異能戦争なんかになっても事務員達は守られるしね。ちゃんと社の一員として居た方が何かと安全だ。…まぁ決めるのは君だよ」
二人の視線が僕に向く。
悪い事はない。けど社員の皆さんに迷惑がかかるかもしれない。
貴方「……本当にいいんですか？」
太宰「また吸血鬼だからとか思ってるでしょ。気にしなくて良いのだよ。異能力者は皆何処か人間離れしている。あの敦くんだって元は区の災害指定猛獣だ。皆君と変わらないよ」
同じ様な事、前に与謝野女医にも言われた気がする。
僕は、此処に居る人たちと大差ない…。
そうか。此処では自分の出来る事で誰かの出来ない事を補っている。
僕も誰かの何かになれるかもしれない。
貴方「…やります。頑張ってみます」
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2018年10月21日 23時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます！！！此れからも頑張って下さい！！！応援させていただきます！！！ (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2018年10月19日 21時
