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意地悪な言葉 ページ38

気怠さを感じながらお風呂から出ると太宰さんはぼーっと手元を見ていた。
僕に気づくとおいで、と隣をとんとんと叩いた。

貴方「太宰さん、煙草吸わないの?」

太宰「どうして?」

貴方「だって前は吸ってたから」

太宰「あの時はそういう気分だったのだよ」

貴方「ふぅん」

格好良かったからまた見たかったんだけど別に無理に言う事でもないや。
ベッドに座ると彼は少しニヤッと笑った。
見透かされてるみたい…。

太宰「それとも、格好良いからまた見たい?」

貴方「いや、別に、その」

ほら、やっぱりバレてる。
なんて思ってると彼は壁にかけてあった外套のポケットから煙草の箱とライターを出した。

太宰「持ってるよ?」

貴方「…見たい」

太宰「ふふ、ちょっと意地悪したくなっただけだよ」

わかっててやってる。
でもきっと僕に見たいって言わせたかったんだと思う。
隣に座ると箱から一本取り出して火をつけた。
紫煙、彼の横顔。
やっぱり格好良い。

貴方「ねぇ、接吻して」

太宰「何を言うかと思えば。おいで」

先刻も沢山したのにまた深い深い接吻をする。
彼は本当に接吻が上手い。いや、他も上手いけど。
僕の気持ち良い所をわかってる。
だから沢山欲しくなる。

離れる唇。荒い呼吸。
つぅっと伸びた糸はすぐに切れた。

太宰「満足した?」

妖艶に笑ってまた手に持った儘だった煙草を吸う。
堪らない。
彼の首に腕を回すとあいている手で腰を支えてくれた。

貴方「好き」

太宰「知ってるよ」

貴方「格好良い」

太宰「知ってる」

貴方「煙草吸ってる時に接吻するとね、太宰さんの甘い味と煙草の味が混ざって何だかいけないコトしてるみたいな気分になる」

太宰「……私以外にそういう事言っちゃ駄目だよ」

貴方「言わないよ」

太宰「でも年下の女の子と付き合ったり行為したら駄目なんて法律ないし、君はもう子供じゃないから何も問題は……。幾つだっけ?」

はっとしたように問う太宰さんがあまりにも珍しくてそんな顔するんだ、と嬉しくなった。

貴方「実はまだ十九歳」

太宰「……まぁ付き合ってるし。十代だから危なく聞こえるだけで三歳下の異性と付き合うのは悪い事じゃない」

自分に言い聞かせる様に言う。
でももう過ぎた事。
だから僕と太宰さんが身体を重ねた事だって言わなきゃいい事だ。
僕は嬉しい訳だし。

貴方「焦った?」

太宰「焦った。もう二十歳だと思ってたもの」

貴方「いけないコトしてる気分でしょ?」

太宰「ちょっとね」

借り物が脳を支配する→←ただ本気なだけ



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設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時

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