気づけない代償は何時も ページ34
貴方「……でも」
久々に怖い太宰さんを見ていたら無意識に手が震え出した。
大丈夫、太宰さんはあの人たちみたいに殴ったりしない。落ち着いて。お願い、止まって…。
僕の目線までしゃがみこんだ太宰さんを見て、益々身体が震える。
それとは裏腹に太宰さんは優しく手を握って、抱き寄せてくれる。
太宰「落ち着いて。ごめんね、怖かったね。強く言い過ぎちゃった」
貴方「僕が、悪い…」
太宰「ごめんね、何時も気づくのが遅くなって。いいよ、怖かったって言っても」
貴方「大丈夫、僕が気にしすぎてるせいだから」
太宰「触らない方が良い?」
頭を左右に振ると彼は今まで以上に優しく僕の背を撫でた。
脳ではわかっていても身体はまだ男の人が怖いみたいだ。太宰さんだけでも怖くならない様にならなきゃ。
いや、でも先刻のは怖かった。
あぁ、意識すると駄目だ。収まらない。
太宰「A、まだ怖い?」
貴方「……怖い」
太宰「…ごめん。ごめんね。もっと優しくなれるようにするから」
貴方「太宰さんは十分優しいよ」
太宰「でも身体、こんなに怖がってる」
貴方「違う。頭ではわかってる、ちゃんと。だから慣れるから。こういうの。怖くないって身体にも教えるから」
太宰「抑え込む必要なんてないよ。まだ身体が過敏になってるだけだ。時間が経てば安定する、きっと。だから無理しないで。怖いって言って」
落ち着くまで太宰さんは僕を抱き締め続けた。
もう、怖くない。
太宰「先刻の話の続き、しても良いかな」
太宰さんの腕の中でぼーっとしていると彼がふと言った。
小さくうん、と返事すると何度もゆっくり頭を撫でられた。
太宰「私の事を考えてくれるのはとても嬉しいよ。でもね、私の為に君が我慢する必要はないし、我慢する君を見てる方がよっぽど辛い」
貴方「…じゃあ太宰さんも本当に辛い時は辛いって言ってくれる?そうじゃないと心配で…」
太宰「わかった、言うよ。約束する。だから他の人のとか言わないで」
貴方「うん。ごめん」
太宰「ほら、血飲もう。まだ万全じゃないのに沢山泣けば足りなくなるのも当たり前だよ」
貴方「…うん」
太宰さん倒れないかな。
こんなに毎日の様に飲んでたら具合悪くなる筈。
どうしよう…。
太宰「また私の身体心配してる?」
貴方「大丈夫なの…?本当に飲んで」
太宰「前にも言っただろう?嬉しいんだ。君に血を飲まれる事も、君の身体が私の血で動いてる事も」
彼がこう言ってる間は甘えようかな…。
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時