その無は ページ4
僕は人じゃない。
人にはなれない。
それは誰よりもよくわかってる。
玩具みたいな扱いをされた事もあったし、僕を見る人達の目はどう見たって気持ち悪いものばかりだったから。
皆身体目当てなのが隠してたってわかる。
暴力の対象か、欲の捌け口か。
軽く分けるとその二つだ。
何方にしろ僕の意見なんか聞いてもらえるはずもない。
それが普通だ。
だから何を言われても僕は自分と人間を区別する。
でも太宰さんとはそんな関係になりたくない。
貴方「太宰さん、太宰さん…」
太宰「なぁに?」
貴方「もっと愛して。人間だとか吸血鬼だとかそんな事気にならないくらい私をおかしくして。じゃないと狂ってしまう気がするんだ…」
太宰「どうしたら満足?一日君の傍に居たらいいかい?今までの人達みたいな暴力を愛を持ってすればいいかい?」
貴方「ううん。そんなんじゃない」
違う。もっと特別な何にか。
私しか貰えない様な感覚。
太宰「じゃあ何?縛りつけろって言うの?それとも監 禁する?君が数日寝込むくらいに抱けばいい?」
あぁ、そうだ。
太宰さんを私の一部にした様に、私も、僕も太宰さんの一部になれば……。
貴方「太宰さん、僕、太宰さんに血を飲んでほしい。僕の血。太宰さんが何時も感じてる痛みとか感覚とか知りたい」
太宰「君の血を、私が飲むの……?」
太宰さんは珍しく悩む様な目をした。
嫌かな……。
貴方「僕は何時も受け止めてるだけ。僕も太宰さんの一部になりたい。肉体的な一部に」
太宰「でも、人の血なんて飲んだ事ないからどうしたらいいのかわからないよ」
貴方「それが普通だよ。きっとね」
太宰「本当にそうする事で愛されてるって思うの?」
貴方「わからない。だって愛された事なんてないもん。愛した事もない。だから何もわからない」
太宰「…そう」
目を逸してただ其れだけを言った。
太宰さんは何時も笑ってくれる人なのに、深く息を吐いて何も言わなくなった。
貴方「……僕、おかしい事言ってるかな」
太宰「普通の子は言わないだろうね」
少し微笑んで僕の髪を撫でた。
でもその目の奥には見た事ない様な無があった。
怖かった。太宰さんじゃないみたい…。
貴方「…そっか。ごめんなさい。忘れていいから」
太宰「どうして?先刻言った愛してほしいは本心だろう?」
貴方「わからないや」
誤魔化す様に笑うと、太宰さんはまた何かを隠す様に僕を抱きしめた。
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紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます!ゆっくりですが頑張ります! (2018年10月21日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!!!此れからも頑張って下さい!!!応援させていただきます!!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年10月19日 21時