思考の違い ページ3
太宰さんの手は何時も少し冷たい。
朝日にまだうとうとしながらそう思った。
今日は早く起きれた。
昨日は夕方まで寝てしまった。
太宰さんと同じ生活がしたいのに長年の習慣は中々消えない。
起きれても眠たくてしょうがない。
太宰「眠いの？やっぱり寝てるかい？」
貴方「ううん。…行っちゃうんでしょ？仕事」
太宰「国木田くんに怒られるからね」
貴方「なら僕も行く」
太宰「でも君にとってこの時間起きるのは身体に良くないだろう？」
『僕にとって』
太宰さんと僕は違う。
一見同じに見えて全くの別物。
人間と吸血鬼。
僕らから見れば似た形をした餌と同じ生き物。
でも太宰さん達からすれば同じ生き物と化物。
それくらい僕と太宰さんは違う。
貴方「……人間だったら良かったのに。人間だったら太宰さんと同じだったのに」
同じじゃないと自覚すると最近は涙が出てくる。
太宰さんと同じがいい。
違うとわかってしまうと苦しい。
僕も人間として生まれていれば太宰さんと普通の恋人になれたのに。
吸血鬼達にとって僕と太宰さんは異様で可笑しく、虐げられる様な関係だ。
人間と吸血鬼が恋人、夫婦なんて例は殆ど聞いた事がないし、少ない例も殆どが人間は吸血鬼に殺されてる。
それもあって違う事が凄く怖く、嫌だ。
太宰「意地悪を言う心算はなかったのだよ。ただ、辛いなら無理にそんな事しない方が良いと思っただけなんだ」
焦る様に言って迷う様に手を動かす。
余裕ない時にする仕草。
最近わかってきた事の一つ。
まだ泣きやまない僕に太宰さんも泣きそうな声で話しかけた。
太宰「ごめんね。泣かないで。私が悪かったよ」
抱き寄せられて暫くすると涙は止まった。
わかってる。悪意があって言ったってわけじゃないのは。
貴方「ごめんなさい。太宰さんは悪くない。僕が反応しすぎるのが良くないんだ」
太宰「……何が嫌なの？」
貴方「え…？」
太宰「嫌だったり、苦しかったり悲しかったりしないと泣かないだろう？」
もういっそ言ってしまおう。
彼なら受け止めてくれる。
否定しないでくれる。きっと。
貴方「……太宰さんと違う事が嫌」
太宰「違う？」
貴方「人間と吸血鬼だって事が」
太宰「あぁ。私はそんなに大きな問題だと思っていないよ。君が私を好いてくれる事以外の何が大切だって言うんだい？私は君が好きだし、君も私が好き。それだけあれば後は気にする事じゃないと思うのだけれど」
貴方「僕はそんな風には考えられないよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 546人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅野(プロフ) - まんじゅうねこさん» ありがとうございます！ゆっくりですが頑張ります！ (2018年10月21日 23時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます！！！此れからも頑張って下さい！！！応援させていただきます！！！ (2018年10月20日 22時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅野 | 作成日時：2018年10月19日 21時
